研究課題/領域番号 |
17K04049
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
野口 晃弘 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (90208314)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 会計学 / 財務会計 / 資本会計 / 制度会計 / 分割払込 / ストック・オプション |
研究実績の概要 |
歴史研究と国際制度比較研究の両面から分析を進め、課題の研究領域を明確化し、かつ、試行的な調査結果をまとめて示すため、分割払込の会計とストック・オプションの会計に関して「資本会計における認識基準」と題する研究報告を現代資本会計研究会において行い、意見交換を行った。 わが国では、昭和23年の商法改正まで、分割払込による株式の発行が認められており、かつ、法律によって会計処理が細かく規定されていなかったため、多様な実務が存在していた。その当時の状況について、のべ2千社以上を調査した結果、引受済資本金の未収額が存在していた場合には、ほとんどその金額が資産計上されており、引受主義により資本金の認識が行われていたことを確認した。先行研究における記述よりも、引受主義が確立した原則として機能していた状況が明らかになった。 ストック・オプションが、一般に記述されている1920年代よりも早く、US Rubber 社において1900年代から分割払込の形式で付与されるようになっていたが、ストック・オプションという表現は用いられていないものの、従業員に対する報酬制度として同様の分割払込による株式の発行が行われていた事例を確認することができた。これをどこまで遡ることができるかが、今後研究を進める上での課題となっている。 権利確定条件付き有償新株予約権の会計処理については、実務対応報告が平成30年1月に公表されたため、その会計処理について検討し、実質的な有利発行を簿外処理させないための会計基準として位置づけられることが明らかになった。国際制度比較という観点からすると、FIN38が設定された経緯と類似していることも明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
歴史研究において、戦前の日本の実務の中で、資本金の認識基準として、引受主義が確立していたと述べることができるのに足るだけのデータが得られると同時に、極めて例外的にせよ、払込主義を採用していた会社を特定することができ、今後、会計方針に関する事例研究を進めることができる段階となった。 またアメリカ企業の年次報告書の調査を通じて、ストック・オプションの原型と言うべき報酬制度の歴史が20世紀初頭まで確認でき、さらに遡ることができる可能性があることがわかった。 国際制度比較研究において、ストック・オプションについて、イギリスの状況が日米と異なっていることが明らかになったため、今後の研究における一つのポイントになることが把握できた。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね順調に進展してきていることから、当初の研究計画に従って研究をさらに進める。
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