研究課題/領域番号 |
17K04059
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
平井 裕久 神奈川大学, 工学部, 教授 (40399019)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 企業価値評価 / 併用法 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,併用法による企業価値評価モデルに包含される各評価方法についての予測精度の向上を目指し,併用法による企業価値評価モデルの利用可能性を高めることである。本年度は特に事例研究を通じて,非上場企業の株式価値評価に関して生じる様々な実務場面での解釈について研究を進めている。 成果の一部として,新株予約権(制限付新株予約権)を対象に議論している。企業が行使制限条項を付した新株予約権の発行に伴って,価格の有利発行の具合について判断するための公正価値評価が,実務において求めらている。しかし,実際の算定書における評価結果は,必ずしも公正価値を示しているとは限らないのが実情である。そして,算定書における評価結果が誤っていたとしても,算定書における理論的根拠が乏しいために反証することができず,また盲目的に受け入れられてしまう可能性が生じている。このような問題の原因として考えられるのは,企業が付ける複雑な条件のもとに予約権価値評価のモデル設計が行われており,理論的あるいは規範的なモデルが整理されていないためだとも考えられる。そこで実務における評価事例を参考にして,算定書の評価結果が過少評価となっている事実を明らかにしている。このことからも,企業の正確な価値評価モデルの重要性が明らかである。 本研究における複数の評価方法を併用した企業価値評価モデルの議論の前提として,本年度の特定の事例研究による成果を踏まえ、企業の価値評価に関する問題を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の所属異動のため、予定より進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究において,充実したデータベースの作成が重要であるため,実証において必要となる財務および株価データを整理する。また,M&Aに関するデータについても追加的に購入することでデータセットを充実させる。そして様々な統計的処理を施すために,データの確認・集計・加工を引き続き行う。 データ収集とは別に,Yee(2008)モデルに準ずる日本での実証研究について,更新されたデータによりこれまでの研究結果を再確認する。その上で,マルチプル法による価値評価に関するBhojraj and Lee (2002)や音川(2010),Young and Zeng(2015)らの研究等を踏まえたサーベイも引き続き行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
データの購入予定が滞ったことと、予定していた学会への参加ができなかったことによる。
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