研究実績の概要 |
本研究の目的は,併用法による企業価値評価モデルに包含される各評価方法についての予測精度の向上を目指し,併用法による企業価値評価モデルの利用可能性を高めることである。 本年度は,特に最終年度に向け,様々な実務場面での解釈について研究を進めてきており,実用可能性の検討をおこなった。これまで収集してきたデータの適用を可能とする形として,Yee(2008)モデルを展開し,その上でモデルの拡張をおこなってきている。この拡張モデルを基に,分散・共分散を用いたウェイトの推定およびその回帰式によるウェイトの推定を,TOBデータの利用により分析した。ここでは,ウェイト推定を複数の方法でおこなうことで、その予測誤差に基づき精度比較をおこなった。この精度比較に際して,サンプル外予測に関して,ローリング推定によりおこなうなど,サンプルの問題解決に向けた取り組みもおこなった。その結果を踏まえ,TOBデータによらず,一般的な企業のサンプルで分析を実施するために,問題となっている資本コストに関する検討もおこなった。これらの検討により、より一般性の高いモデルとして評価されることが明らかになりつつある。 本研究における複数の評価方法を併用した企業価値評価モデルの議論での問題点を解決していくことで,より精緻な分析が可能となり,また追加的にデータの更新を充実させることで頑健性の高い実証結果が得られる。この結果,企業の価値評価に関する問題を明らかにできよう。
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