研究実績の概要 |
今年度は当該研究の初年度ということもあり、マネジメント・アプローチがセグメント情報に及ぼす影響について、経営者の恣意性と比較可能性の視点から文献レビューを行った。レビューの対象とした論文は主に北米のTop Tierと呼ばれる雑誌(The Accounting Review, Journal of Accounting Research, Journal of Accounting and Economics, Review of Accounting Studies, Contemporary Accounting Research)に掲載された実証論文である。文献レビューを通じて最新の研究動向の把握につとめ、成果として2本の論文を公表した。1本は国際会計研究学会研究グループの最終報告書で、論文「営利企業のセグメント情報開示とマネジメント・アプローチの有効性:経営者の恣意性への影響」を公表し(2017年8月)、もう1本は『會計』で論文「セグメント情報の比較可能性:マネジメント・アプローチの影響」を公表した(2017年10月)。 今年度の作業は全体的に、実証分析の基礎を固めるための準備作業と位置づけることができる。今後は今年度の作業を活かすためにも、主に多国籍企業の財務情報、所在地別セグメント情報、ガバナンス情報等を整理するとともに、経済産業省が毎年作成している「海外事業活動基本調査」の統計データを入手し、海外子会社を含む在外事業体の実効税率を整理したうえで、多国籍企業の租税回避(利益移転)と所在地別セグメント情報の開示の関係について実証分析を行いたいと考えている。
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