第1の学術的意義は、これまでの先行研究で採用されている不正確な資本コストではなく、同時逆算法を適用することによって得られるインプライド期待リターンとインプライド期待成長率を用いて、自社株買い企業や増配企業の実態を解明している点である。日本の増配企業が将来好業績を達成しており、そのような増配企業に対して、市場の成長期待と期待リターンがともに上昇しているという、米国とは異なる証拠を発見した点が第2の意義である。これらの証拠は、経営者のペイアウト政策や投資家の証券投資の意思決定に有用な示唆を提供するものであり、社会的な意義も有する。
|