研究課題/領域番号 |
17K04063
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
浅野 信博 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 准教授 (10319600)
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研究分担者 |
松中 学 名古屋大学, 法学研究科, 准教授 (20518039)
榎本 正博 神戸大学, 経済経営研究所, 准教授 (70313921)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 監査役会 / 監査等委員会 / 監査委員会 / コーポレートガバナンス / 取締役会 / モニタリング / 企業価値 / 利益調整 |
研究実績の概要 |
本研究は、わが国における監査役会の機能の解明を図ることを目的としており、その目的遂行のために、以下のプロセスで研究を遂行している。すなわち、1)監査役会、監査等委員会および監査委員会にかんする実態調査の段階、2)わが国上場企業における機関設計の決定要因分析の段階、3)わが国上場企業における機関設計の経済的帰結分析の段階である。我々はまず、これまで明らかにされてこなかった監査等委員会の実態調査を実施するとともに、監査等委員会の決定要因分析を実施した。その結果については、日本ディスクロージャー研究学会にて報告を行い、フロアから有益なコメントを得た。 わが国上場企業における機関設計の経済的帰結分析については、会計監査人の回転ドアに関する研究、監査役から監査等委員会への横滑り人事に関する研究、企業価値評価に関する研究など、数多くの観点から研究が可能である。これについては、データ入力やサーベイ分析など、予備的作業を実施した。これら経済的帰結分析の結果については、順次、論文化・報告のうえ、海外ジャーナルに投稿することになる。 他方、わが国における監査役会の機能の解明を図るためには、監査役会の機能の良し悪しを測定するためにどのようなベンチマークを用いるかという問題を避けては通れない。われわれは、株価指標や利益マネジメント指標のほか、ゴーイングコンサーン情報にも注目することにした。わが国の現行のゴーイング・コンサーン情報の開示制度については、制度が複雑なこともあって、研究対象としてほとんど注目されていない。われわれはまず、わが国におけるゴーイング・コンサーン情報開示制度の基礎研究を実施した。ゴーイング・コンサーンに関する基礎研究は、本研究において監査役会の機能を測定するベンチマークとして用いるためには必須である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通り、日本ディスクロージャー研究学会、日本監査研究学会にて報告を実施した。しかしながら、他の国内報告および海外報告の準備中、研究代表者の浅野が手術および長期入院というアクシデントに見舞われた関係で、当初の予定より遅れが発生した。その後、遅れを取り戻すべく他のメンバーとともに精力的に研究に注力した結果、平成30年度には予定通りの進捗状況に戻る見込みが得られた。
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今後の研究の推進方策 |
監査役会設置会社から監査等委員会設置会社への移行に対する決定要因分析については、今年度中に海外ジャーナルに投稿する予定である。加えて、会計監査人の回転ドアに関する研究、監査役から監査等委員会への横滑り人事に関する研究など、数多くの手持ちの研究については、三人の協議の元、順次論文化を図った上で、国内および国外の学会で報告の予定である。今後の研究の推進方策として、最終ゴールを明確にすることがあげられる。すなわち、海外ジャーナルへの掲載および国内における研究書の出版を最終ゴールとし、これに向けて逐次業績を積み重ねることを目指している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の浅野が手術および長期入院のため、メンバー全員による研究プロセスの一部が一時的に遂行できなかった。次年度においては、研究進捗度が当初の予定通りに戻ることが期待されるため、原則として繰り越しは生じない。
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