研究課題/領域番号 |
17K04066
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研究機関 | 獨協大学 |
研究代表者 |
大坪 史治 獨協大学, 経済学部, 准教授 (20555263)
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研究分担者 |
黄 海湘 獨協大学, 経済学部, 非常勤講師 (60626505)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 非財務報告書 / 非財務情報 / 統合報告書 / CSR / 持続可能性 / 環境報告書 / ナラティブ情報 / テキストマイニング |
研究実績の概要 |
本研究は、データ解析や独自に構築した分析プロセスおよびシステムにより、企業の非財務報告書(環境報告書、持続可能性報告書、CSR 報告書、統合報告書など)に記載される記述情報などのナラティブ情報を使用される用語とその出現頻度の視点から定量化し、分析することを進めてきた。国際的に非財務報告の開示と形態の多様化がますます進行するなかで、今後の方向性や企業ごとの位置関係を把握したいという作成者側の情報ニーズに応えるために、また情報利用者に有用な情報を提供するために、重要課題や使用用語のトレンドの探索、使用用語から導く報告書の類型、枠組みを明らかにすることを目指している。 平成29年度は、最新の非財務報告書をWEB 上から収集するとともに、少しでも多くのデータを確保するために、テキストデータ化できなかった報告書を有効にする作業や過分割されるファイルの結合などの作業を行った。これと並行して、分析結果をより鮮明にするために、より精緻な結果が得られるために、用語と出現頻度のリストを丁寧に観察しながら専門用語辞書および類義語リストの改訂に継続して努め、以前より精度の高い辞書やリストに仕上がった。そして構築した分析プロセスに従って繰り返し分析を行い、技術的な細かい課題をひとつひとつ改良・改善しながら、ようやくより精度の高い分析結果が得られる分析プロセスとシステムを完成させた。 本年度は「非財務報告書の類型化の試み」(『獨協経済』第100号,pp93-99,2017年)に成果の一端をまとめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度の研究実施計画どおりにおおむね進展しているが、次年度以降、円滑に研究を進めるために、分析対象となるデータの収集と有効化の作業、分析に不可欠な専門用語辞書や類義語リストの改良作業、そして分析プロセスとシステムの見直しに十分に時間をかけて慎重かつ丁寧に行った。そのため、当初平成29年度に予定していた年度ごとの非財務報告書の分布と類型化については、平成29年度内に作業が完了しなかった。しかし分析するうえで必要なハード面の環境とシステム上の環境が既に整っているので、次年度以降の研究実施計画どおりに研究を実行できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、平成29年度研究実施計画においてやり残した年度ごとの非財務報告書の分布と類型化の作業を行っており、その成果の発表準備を優先して行う予定である。 平成30年度は、日本企業と海外先進企業を比較分析するため、海外先進企業の分析の準備、海外先進企業の現状分析、および海外先進企業の選定を予定している。研究の基本的な方向性は変わらないが、言語の異なる海外先進企業の非財務報告書の分析において、予期しない技術的な問題が起こりうるため、早期に取り組むことが必要と考えている。 また、海外先進企業の現状把握については、ヒアリング調査を中心に報告書の中ではみえてこない報告目的、作成意図、トレンド、将来の方向性などの把握に努めることを心がけ、ヒアリング調査や訪問する企業について、再度、慎重に検討を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
分析用パソコンに求められる仕様を再検討して購入価額を抑えることができたことと、パソコン周辺機器および図書費を節約したために次年度使用額が生じた。次年度使用額は、必要に応じて分析用パソコンの資本的支出、不足することが予想されるデータ収集の人件費および出張旅費に充当し、本年度分と合わせて計画通りに使用したい。
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