研究課題/領域番号 |
17K04069
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
園田 智昭 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (50226718)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 企業グループ / シェアードサービス / 全体最適 / 部分最適 / 純粋持株会社 / 広告宣伝費 / CMS / 本社部門 |
研究実績の概要 |
企業グループマネジメントの課題のうちの1つは、経理や人事など、企業の本社部門で行われている間接業務を集約するシェアードサービスである。企業グループでのシェアードサービスの導入状況と実施組織であるシェアードサービスセンターのマネジメントについて調査すべく、セキスイビジネスアソシエイツ、サントリービジネスシステム、星野リゾート、シオノギ総合サービス、オリックスビジネスセンター沖縄に訪問調査を実施した。また、シェアードサービス導入企業の実務家が集まる、シェアードサービス研究交流会議と食品業界シェアードサービス連絡会に参加し、参加企業と意見交換を行った。さらに、日本管理会計学会の全国大会で、シェアードサービスのセッションを実施した。 なお、現在実施している『会計・監査ジャーナル』での連載は、公認会計士を中心とした実務家の啓蒙を目的としており、テーマの選択に関する自由度が高い。そこで、本研究テーマに関係したアイデアや簡単な研究成果について、早期に活字化して発表する目的でも活用し、8本の論文を発表した。さらに、連載の15回目までの文章に2万字分の加筆・修正を加え、『Q&A管理会計の最先端ーより深く学ぶためのアプローチ―』(日本公認会計士協会)を出版した。連載で記載していないクイズの解答だけではなく、各章にコメントを加えて、その章を設けた意図を明らかにした。解答は〇×だけではなく、3種類の△(基本〇か×だが例外有り、議論があり結論が出ていない)も含めることで、問題が複雑になっており、正解を示すだけではなく、すべての解答に詳細な解説を加えた。 企業グループ・マネジメントに関しても、「企業グループの部分最適と全体最適の類型化ー仮説例に基づく検証―」(『三田商学研究』61巻1号)を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度は、5社に調査をし、日本管理会計学会の全国大会で、シェアードサービスのセッションを実施したが、研究計画に記載したすべての項目の実施まで進むことができなかった。 ただし、本研究テーマに関係したアイデアや簡単な研究成果については、平成30年度に『会計・監査ジャーナル』で8本の論文を発表しており、『Q&A管理会計の最先端ーより深く学ぶためのアプローチ―』も出版している。また、企業グループ・マネジメントに関する論文も公表している。そのため、平成31年度の研究に向けた下地はできているものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度の本研究の全体的な研究計画は以下のとおりである。平成31年度は、30年度までの遅れを取り戻すべく、シェアードサービス、純粋持株会社、広告宣伝費を対象として、以下の研究を行う。 シェアードサービスについては、園田(2006)『シェアードサービスの管理会計』以降の実務の展開を主たる研究対象とし、具体的には、時間管理、戦略支援業務の取り込み、アウトソーサへの委託等について、企業に訪問してインタビュー調査を実施する。また、上場企業にシェアードサービスに関するアンケート調査を行い、質問票による包括的な分析を実施する。 純粋持株会社に関しては、園田(2007)「純粋持株会社の収益管理」で行った、収益源と収益水準の追試を実施するほか、親会社を事業持株会社に組織変更した企業グループについて、その理由をインタビュー調査により明らかにする。 また、広告宣伝費についても、収益との相関関係等の分析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は『Q&A 管理会計の最先端』の出版に時間を取られ、企業への訪問調査を主に実施した。31年度は最終年度であり、2年間実施した訪問調査をもとに、アンケート調査を実施する計画であり、そのための支出で次年度使用額も含めて予算を消化できる予定である。
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