研究課題/領域番号 |
17K04069
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
園田 智昭 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (50226718)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 企業グループ / シェアードサービス / 全体最適 / 部分最適 / 純粋持株会社 / 本社部門 |
研究実績の概要 |
企業グループマネジメントの課題のうちの1つは、経理や人事など、企業の本社部門で行われている間接業務を集約するシェアードサービスである。日本企業でシェアードサービスが導入されてから20年以上が経過し、初期の定型的な業務を集約化して効率化することを目的としたSSC(Shared Services Center)から、より上位の機能である戦略支援業務まで取り込んだSSCに変貌した企業グループも多い。また、SSCの組織形態も、本社内の組織として設立する形態が減少し、グループ内のシェアードサービス会社を設立する企業グループが増加している。 このような変化を分析するために、アンケート調査を実施する予定で質問票を作成したが、令和2年度に引き続き、新型コロナウイルスにより緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が発令されたため、質問票の回収が見込めない状態となり、アンケート調査の実施を令和4年度に延期することとした。アンケート調査については、令和4年度中に新型コロナウイルスの感染状況を見極めつつ実施する予定である。なお、テレワークの実施など、新型コロナウイルスによる働き方の変化についても質問項目に取り込むことで、今後のウイズ・コロナ時代のシェアードサービスのあり方を検討する。テレワークについては、自己の経験に基づく報告を大学行政管理学会で行った。 企業グループ・マネジメントに関しては、日本管理会計学会の産学共同研究グループで、ダイキン工業グループについて調査するメンバーとなっており、日本管理会計学会2021年度年次全国大会で中間報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスのまん延により、多くの企業がテレワークを導入し、アンケート調査を実施しても回収が見込めない状態が続いてしまった。また、新型コロナウイルス下でのオンライン授業の準備に忙殺されたこともあり、令和2年度に引き続き、令和3年度も研究計画をほとんど実施できない状態となってしまった。その一方で、アンケート調査で使用する質問票は作成しているので、令和4年度中に新型コロナウイルスの感染状況を見極めつつ実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度の全体的な研究計画は以下のとおりである。 シェアードサービスについては、園田(2006)『シェアードサービスの管理会計』以降の実務の展開を主たる研究対象とし、具体的には、時間管理、アウトソーサーへの委託等について、上場企業にアンケート調査を行い、質問票による包括的な分析を実施する。日本企業でのシェアードサービスの導入より20年が経過したが、アンケート調査によって、この間の変化と現在の課題を明らかにする。新型コロナウイルスの影響により、今後、大幅な経済的停滞が予想されるが、シェアードサービスは間接業務を効率化する手法であるため、このような状況下でどのように活用の仕方が変化するのかを確認する。たとえば、経理部や人事部でテレワークがどれくらい導入されているのか、業績の悪化によってシェアードサービスの導入状況が変化するのかなどが新たな調査事項である。 純粋持株会社に関しては、園田(2007)「純粋持株会社の収益管理」で行った、収益源と収益水準の追試を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響によって、令和2年度に引き続き令和3年度もアンケート調査の実施を延期せざるをえず、次年度使用額が生じてしまった。今までに実施した企業への訪問調査をもとに、アンケート調査を実施する支出で令和4年度に予算を執行する。
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