研究課題/領域番号 |
17K04075
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
山口 不二夫 明治大学, グローバル・ビジネス研究科, 専任教授 (90245340)
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研究分担者 |
山口 由二 大東文化大学, 経営学部, 教授 (40281597)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | イギリス東インド会社 / ジャーディンマテソン商会 / カントリートレーダー / パートナーシップ / 庶民院議事録 |
研究実績の概要 |
英国のアジア貿易の主な手段であった東インド会社は独占の弊害があるという理由で、1813年にインドの独占貿易権、1833年に中国の独占貿易権をうしない、実質的にその命を終えた。同社の従業員のジャーディンにより1832年に設立されたジャーディンマテソン商会(以下、JM商会と略称)が、それ以降英国のアジア貿易の中心となる。その両者の帳簿や会計を比較し経営分析を行うことが目的である。 英国ケンブリッジ大学に所蔵されているJM商会の史料のなかに1832年以前の1799年からのJM商会の前身のpartnership会社の史料を発見した。東インド会社は英国とアジアの貿易商社であるが。JM商会はアジアで東インド会社の荷物を捌き、集荷するCountry Traderと呼ばれる、東インド会社貿易業務を補完する会社であった。 前年に1799年当時の同社の帳簿を検討し、partnership制をとっていたCountry Traderの簿記では,記帳の目的は,勘定の管理が一番大きい。勘定科目では人名勘定が圧倒的に多いことから,貸し借り,それに伴う金利,手数料の管理である。当時の取引の回数と取引相手の人名勘定科目数はそれほど大きくなく、このような帳簿の組織で十分に企業の状況を把握できたことを明らかにし、会計史学会の年報(査読付き)にJardine Matheson史料の検討 ―1799年から1801年Reid, Beale, Hamilton and Shank商会のLedger 元帳-として掲載された。 英国の庶民院議事録に同時期の東インド会社の財務諸表が掲載されておりその分析がいまだされていないので、前年に引き続き研究し、1801年から14年までのデータ財務諸表様式とデータの分析が会計理論学会年報(査読付き)に掲載された。1815年から23年までの分については同学会の全国大会で報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はジャーディンマテソン商会史料とイギリス東インド会社の①予備研究と史料収集、②史料の整理、表データベース化、③研究発表と研究者間のディスカッション、④成果物の公表 に分けることができる。 両社とも各社を時期に区切って研究を行うことが有効と考え、1799年から1801年のジャーディンマテソン史料については③④を行ったが、1801年以降の年数も資料も多く、①史料収集は行えたが②については史料を全部まとめきれなかった。しかし、1801年までの史料は査読付きの学会誌に掲載された点は順調である。 イギリス東インド会社の研究については、1801年から14年まではとくに査読レフェリーからの課題を検討するという形で③を行い④上記とは別の学会誌(査読付き)に掲載することができた。また英国庶民院の議事録に掲載された1814年から23年の東インド会社の財務諸表ついては、①史料の収集②史料の整理とデータベース化、③研究会報告と学会報告、研究者とのディスカッションとを行うことができたので、順調である。
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今後の研究の推進方策 |
この二年間の研究方法で成果ができてきているので基本的にはその方法を踏襲したい。足に昨年まとめることのできなかった1802年から32年のジャーディンマテソン史料は長期間であり、史料の量も膨大であるが、史料が保管されているケンブリッジ大gカウの図書館を訪れ、史料の期間を区切るなどして、何らかの形でまとめて、データ化して研究報告を行いたい。 イギリス東インド会社の庶民院議事録に収録された史料のうち貸借対照表と収支計算書の分析は終わっているので、大英図書館を訪れ、に収蔵されている原帳簿と突き合わせることが試みたい。実は何回か試みたが、原帳簿と庶民院議事録収録の財務諸表とは大枠では一致する項目もあるが、厳密にはほとんどといってよいほど一致しない。その理由を究明したい。 その上で東インド会社という勅許株式会社とパートナーシップ会社であるカントリートレーダーの実態や相互関係、を明らかにして纏めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は英国の企業東インド会社とジャーディンマテソン商会の史料を必要とし、それらの史料はロンドンとケンブリッジに保管されている。当地での資料収集と現地の研究者とのディスカッションを必要とし、予算では渡航費を計上していた。昨年度は本務校の研究費を用いて渡航したため、その分の渡航費を抑えることができた。 その代わり現地での滞在日数が少なく、ケンブリッジやロンドンでの資料収集を今年度は増やす必要がある。また今年度は最終年度であるため、二回史料確認に訪れる必要がるkふぁのう性が高い。昨年度の次年度使用額は今年度の滞在費と二回目の渡航費に用いる予定である。
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