研究課題/領域番号 |
17K04076
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研究機関 | 和光大学 |
研究代表者 |
井出 健治郎 (井出健二郎) 和光大学, 経済経営学部, 教授 (70267425)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 財務情報 / 非財務情報 / 医療経済実態調査 / 介護経営実態調査 / 障害サービス経営実態調査 |
研究実績の概要 |
本研究は、診療・介護・障害報酬に横断的かつ統合的な財務情報および非財務情報に関する調査研究として、現況、診療報酬、介護報酬そして障害サービス報酬の3本が並行する制度設計の中で、それらの基礎調査となる医療経済実態調査、介護経営実態調査、障害サービス経営実態調査を可能な限り統合化することを目的としている。その目的を達成するために、以下のような目標の下、実績を重ねてきているところである。 ①医療経済実態調査、介護経営実態調査、障害サービス経営実態調査それぞれの調査の精査…3調査は当然のことながら、背景や経緯が異なることもあり、それぞれが独自の特長を有しながら現在に至っている。その背景やこれまでの経過を丹念に突き詰めていくことがまず必要と考えている。その場合、制度的な立て付け(法的側面)、対象客体の特長など研究調査が必要となった。 ②3調査の共通項目・財務情報の洗い出し…3調査は、客体の基礎的調査がある。もちろん、客体は病院などの医療機関から、社会福祉法人、そして民間企業まで多岐にわたることもあり、異質感もある。ただし、財務調査の面では、基本的には会計制度枠の中で要求されているものばかりであり、ほとんどの項目について統合することは不可能ではない。まずは、財務情報の洗い出しに努めた。 ③3調査の客体先にとっての負担…一方で、3調査は重ならない年度もあるが、一定程度定期的に客体側に調査協力があり、場合によると事務的負担がある場合が想定される。その点では、負担にかかわるアンケート調査やヒアリング調査により、実態は少しではあるが明らかとなるであろうとの考えから訪問調査等も実施したところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
進捗状況については、上記の目標設定を検証しながらコメントしたい。 ①医療経済実態調査、介護経営実態調査、障害サービス経営実態調査それぞれの調査の精査…この目標については現況おおむね順調に推移していると考えられる。というのは、医療経済実態調査、介護経営実態調査、障害サービス経営実態調査は、その制度設計はいわゆる民間事業者へ委託している。幸い、その制度設計を担当するコンサルティング会社、調査会社の協力を経て、3調査の特長を検討していることになったからである。 ②3調査の共通する財務情報の洗い出し…医療経済実態調査、介護経営実態調査、障害サービス経営実態調査は財務情報を含んでいる。項目をとにかく拾い上げ、3調査を横断的に検討していく必要がある。ところが、会計制度の変革や客体の組織環境の変化もあり、必要な程度の洗い出しは達成されていないと考えている。 ③3調査の客体先にとっての負担…これについてはヒアリング調査を数件協力依頼し、実行したところであるが、アンケート調査には至っていない。もちろん、アンケート項目の選定とその検討については進捗通りと思われるが、ただアンケート調査数の絞り込みについても検討が必要な状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況については、上記の目標設定を検証しながらコメントしたい。 ①医療経済実態調査、介護経営実態調査、障害サービス経営実態調査それぞれの調査の精査…この目標については順調に進んでおり、今後も必要に応じて精査に努めたい。 ②3調査の共通する財務情報の洗い出し…医療経済実態調査、介護経営実態調査、障害サービス経営実態調査は財務情報を含んでいるが、そのベースは客体が作成する財務諸表である。その点から言えば、財務諸表にアプローチして洗い出しを図ることも可能である。当初は、調査の元データを可能な限り提供していただくつもりであったが、目標達成に向けて戦術的に方法を柔軟に変化させていく。 ③3調査の客体先にとっての負担…3調査の事務的負担については、今年度についてはアンケート調査を実行する。もちろん、ヒアリング調査も継続するが、アンケート調査に注力したい。そして、そのアンケート項目を利活用して統計的な分析の下、一定の調査結果を明らかにしたいと考えている。また、以下の目標も設定し、継続性とともに、新たなステージとしていきたい。 ④非財務情報の精査…3調査は財務情報だけがメインではない。施設等にかかわる非財務的な情報が含まれていることは確かである。どのような項目なのか、そしてそれはなぜ必要なのか、3調査に共通して扱える項目なのか…検討するステージにあると考えている。 最後になるが、昨年度は与えられた予算枠を消化しきれなかった。常に節減に努めたことも一因ではあるが、計画よりも進捗が芳しくないことも一因である。計画通りに経費執行ができるように心して努めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由については、実績のとおり、進捗が芳しくないということが一因である。よって、今年度は当初計画をより積極的に進捗することにより、昨年度の繰り越し分は早い時期に消費することが可能となる。 また、今年度は昨年度の計画の継続を図るとともに、非財務情報の精査など新たな使用額も生じてくる。さらにはアンケート調査、ヒアリング調査そして専門的知識の提供など外部協力者のチカラを得て達成していく目標が多い。その点からはおのずから経費がかさむことになり、PDCAに照らした場合、PとDにおける費用の差異は少なくなると予想している。 また、昨年度は必要以上の経費節減に常に配慮したこともあり、申請枠内での効率化が図られているのではないかと考えています。
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