研究課題/領域番号 |
17K04076
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研究機関 | 昭和女子大学 |
研究代表者 |
井出 健治郎 (井出健二郎) 昭和女子大学, グローバルビジネス学部, 教授 (70267425)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 診療報酬改定 / 実態調査 / 財務情報 / 非財務情報 |
研究実績の概要 |
2020年度は、診療報酬、介護報酬そして障害サービス報酬の改定時期であったことが幸いし、本研究のプロセスの妥当性や今後導き出したい結論が各報酬改定の制度設計とマッチしているかどうかを確認することができました。まず、その点からは当初の研究目的を達成することができました。よって、結論から言えば、過年度の積み重ねによる研究成果はおおむね今後の報酬改定の方向性・流れと合致していると考えられます。また、報酬改定のベースとなる各経済・経営実態調査は、やはり財務情報の重要性を浮き彫りにさせています。金額的な数値もさることながら、利益率、収支差額率の高低により、報酬議論が展開されています。そして、何より報酬改定の第一の決定因子になっていることがうかがえました。 また、研究を展開するうえでの手法においては、オンラインやICTを利活用して、一定程度の打ち合わせ等を行うことができています。具体的には遠方の関係者とは数回にわたり、もちろん対面との比較は置くとしても、ZOOMなどを活用した議論ができたようにも思われます。研究実施計画との合致からしてもおおむね順調に進捗したといえると思っています。 2021年度は、延長させていただいた本研究の最終年度でもあります。その点では、2020年度は、最終年度に連動していけるような、各関係団体との最終的な協議を進めた一定程度の成果が見られました。2020年は、本研究のベースを作ることができたと認識しております。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は、収束しないコロナ禍のもとで、きわめて顕著な成果を上げたとまではいかない状況であります。状況を踏まえ、慎重に地道に活動したという意味で、おおむね順調という段階であったと思います。本研究における2020年度は、診療報酬、介護報酬そして障害サービス報酬の各報酬改定における共通項の発見とその改善を目標としておりました。その作業としては、厚生労働省などをはじめとする各団体の関係者に項目等を確認し、フィードバックを受ける必要があります。オンラインを利活用し一定程度は実施できたものの、それが完全とはいえなかったからにほかなりません。 ただし、2020年度は、コロナ禍において、実際に診療報酬、介護報酬、障害サービス報酬の改定作業が行われました。幸いにも、進捗中の本研究のプロセス、導き出したい結論が各報酬改定とマッチしているかどうかを確認することができました。これまでの過年度の積み重ねによる研究成果はおおむね今後の報酬改定の方向性や流れと合致していることを認識しました。また、報酬改定のベースとなる各経済・経営実態調査は財務情報の重要性を浮き彫りにさせています。報酬改定の議論では、財務情報から導出される各事業所の利益率や事業の収支差額率の高低を元として、改定率が決定されました。 それ故に、2020年度の進捗は、コロナという大変大きなリスクを抱えながら、それによる弊害もありましたが、比較的おおむね順調に推移したといえるように思います。
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今後の研究の推進方策 |
今後については、最終年度を迎えることになります。そこでは、過年度に達成しえなかった、これまでの成果について、各連携団体に向けての確認とフィードバックを果敢に行っていく必要があります。具体的には、各診療報酬にあたり、共通する財務情報が複数散見されることもあり、その統合化に向けて調整が必要です。 一方で、個別のいわばそれぞれの報酬で特有の財務情報もあります。これらについては各報酬の基礎資料として正確に把握できるような仕組みが必須です。合わせて、非財務情報もそれぞれの報酬において、重要性が増しています。正確にかつ妥当な情報の発出に向けて詰めの作業が必要となります。 最後になりますが、昨年度コロナ禍の影響で進捗の一部がままならなかったことがありました。アフターコロナ・ウィズコロナなど、先を見据えた状況の中で、本研究の本筋を達成したいきたいと思っております。
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次年度使用額が生じた理由 |
端的に最大の理由はコロナ禍において、経費を使用した研究が全く進捗しなかったことによります。つまり、経費負担することなく、これまでの積み上げにおいて論文成果を仕上げたことになります。とりわけ、出張にかかわる旅費はその必要性から言えば、本来必要なものでしたが、それを使用しなかったことが乖離の一番かと認識しております。 今後の使用計画は、関係各所へのヒアリング調査を行うことに一定額を使用いたします。オンラインを活用するつもりですが、実地による調査を進めたいと思っています。その場合の旅費交通費なども支出となります。 さらに、総括という点では、データの整理、分析に必要な研究補助者への謝金も想定しています。結果として、冗費なく有効な活用が可能と考えます。
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