最終年度において、コロナ感染症による災事が継続したことから、一部研究方法の変更を行ったものの、当初目標とした研究結果は得られたといえます。 具体的には、以下の二つが達成されています。ひとつは、診療報酬・介護報酬・障害サービス報酬のそれぞれについて共通する点や異なる点を、改めてとりわけ厚生労働省が提供する調査や報告書を通じて、洗い出しが可能となったことであります。総じて確認した調査票は320件であり、重複率で最も高いものは62.5パーセントとなっております。ただ、一方ではそれぞれの報酬ごとの個別的な項目も検出されています。また、昨年度から継続して調査客体からの報告について精査したところ、紙媒体の手続きが見受けられ、重複するものと同時に事務の負担軽減を促進するうえで課題となっていることも確認しました。さらには、その客体は、主として医療機関・介護サービス事業者・障害者施設など、市区町村そして都道府県などの3類型の下で確認しました。ただし、近年は急速にWEB利活用の体制がとられており、一定程度の負担軽減は進んでいると考えています。 もうひとつは、診療報酬、介護報酬そして障害サービス報酬の3報酬の改定にベースとなる経済実態調査・経営実態調査について検討しております。医療・介護・障害と機関・事業所は数多くあります。また、それらは開設主体・母体のもと運営されており、会計基準に差異があります。それぞれの会計基準は一般に公正妥当と認められているため正当性は確保されていますが、会計処理等に相違もあり、比較可能性という点で、今後検討する余地があろうと考えております。この点は本調査研究から得られた大きな成果そして今後の議論となると考えます。 最後に、経費は一定額の残余となりましたが、これは当初見込んだ費用よりも実際が少なくて済んだ、いわば節減した結果であります。
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