研究課題/領域番号 |
17K04078
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研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
呉 重和 摂南大学, 経営学部, 准教授 (10705891)
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研究分担者 |
石椛 義和 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (20553142)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Disclosure / Investment information / Cournot competition / vertical industry |
研究実績の概要 |
2018年度は競争相手が存在する製品市場における投資情報開示の影響を明らかにする研究目的のもと、①川上企業が存在する市場環境のもと,複数の川下企業間の投資情報の開示戦略の影響分析、②開示環境がマルチマーケットに直面した企業の投資に与える影響分析、③マルチセグメント企業の投資意思決定と統合と分離の意思決定に関する分析、の3つのテーマについて研究を行った。 ①の研究は、川上企業が存在する市場環境のもと,川下企業間の投資情報の開示戦略について検討し,川下企業が投資情報を開示しようとしない状況を明らかにしたものである。これまでの先行研究では、製品市場において企業が情報を開示しようとするインセンティブのみを明らかにしていたことから,本研究は情報開示に関連する研究において大きく貢献するものであると考えられる。2018年度は①の研究成果の一部を「Disclosure of Investment Information in a Vertical Related Industry」というタイトルのもと,日本会計研究学会の全国大会で報告し、現在海外学術誌「Journal of Accounting and Public policy」に投稿済み(査読審査中)である。 ②の研究は、複数の企業が複数の製品市場で競争する状況を想定し、各市場の開示環境が企業の投資意思決定に与える影響を分析したものである。③の研究は、マルチセグメント企業が複数の製品市場を相手にどのように投資水準を決め、どのように市場競争に挑むのかを分析したものである。これらの内容はマルチマーケットという市場環境を考慮してこなかった会計研究に対して今後の研究の方向を提案する形で大きく貢献するものと考えられ、研究成果については2019年度に学会報告・学術誌に投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
開示環境がマルチマーケットにおける企業の投資意思決定に与える影響について分析した研究成果を2018年度に海外学術誌に投稿する予定であったが、分析で明らかにしたい事項が多く増え、追加のモデル分析を実施し、①マルチマーケットコンタクト企業(複数の製品市場で同一の競争相手と競争する状況)②マルチセグメント企業(マルチセグメント企業が市場独立の企業と競争する状況)の2つのテーマで分析を実施することとなったため、投稿までの分析期間を調整した。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度には次の3つの研究成果を発信する予定である。①製品市場における役員報酬契約の開示戦略を分析した研究成果を「The Effect of Compensation Contracts Disclosure on Executive Behavior」のタイトルで、海外学術誌に投稿する予定である。②開示環境がマルチマーケットにおける企業の投資意思決定に与える影響を分析した研究成果を「Disclosure rule and Multimarket Contact(仮)」のタイトルで、海外学術誌に投稿する予定である。③マルチセグメント企業の投資意思決定について分析した研究成果は「Separation and Integration of Multisegment firm(仮)」,「Disclosure Strategy of The Multisegment firm(仮)」の2つのテーマに分け、国内外の研究会・学会で報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
①川上企業が存在する市場環境を考慮し,川下企業の投資情報に関する開示戦略を分析した研究成果および②開示環境がマルチセグメント企業の投資意思決定に与える影響を分析した研究成果を海外の学会で報告する予定であったが、①については国内の学会で十分なコメントをいただき、②についてはさらなる検討事項が発見されたため、検討事項を解決後、次年度に報告する予定となった。 ①は既に海外学術誌に投稿済みであり、②については検討事項を反映した論文を執筆し、2019年度に海外の学会での報告と投稿を予定している。
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