研究課題/領域番号 |
17K04080
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
橋本 武久 京都産業大学, 経営学部, 教授 (00290601)
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研究分担者 |
中野 常男 国士舘大学, 経営学部, 教授 (60093522)
杉田 武志 大阪経済大学, 情報社会学部, 教授 (80509117)
野澤 丈二 帝京大学, 経済学部, 准教授 (90742966)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 会計史 / オランダ東インド会社 / イギリス東インド会社 / 簿記 / 私貿易 / ワイン |
研究実績の概要 |
第2年目の研究計画では,国内外における文献・資料の収集活動と,それらをもとに先行研究における成果を検証し,その上で,オランダ東インド会社の会計システムの全体像とそこで行われた会計教育法の解明を,イギリス東インド会社と比較という観点を取り入れつつ着手することとしていた。そこで,研究代表者橋本は,平成31年2月17日から21日の日程で,イギリス・ロンドンに出張し,現在在外研究を行っている研究分担者の杉田大阪経済大学教授と合流し,ブリティッシュ・ライブラリーにて共同で資料の収集・検討を行うとともに,最終年度に向けた研究の方向性についても打ち合わせを行った。また,橋本はこれに先立ち,日本学士院の依頼を受けて,「国際学士院連合関係事業『日本関係海外史料研究』に関する調査」のために,平成30年9月10日から同月15日の日程でオランダに出張し,関係史料の調査,ならびに現地の研究者との研究打ち合わせを実施し,本研究課題にとっても密接に関連する有用な情報を得ることができた。なお,本年度の本研究課題の成果の一部として以下のような論文を公刊した。①橋本武久「17世紀末オランダ簿記書における資本勘定の位置付け」『會計』第194巻第3号,31-43頁,2018年9月。②杉田武史「17世紀後半イギリス東インド会社における私貿易と会計―会計帳簿における私貿易の許可料と罰金の管理―」『会計史学会年報』(日本会計史学会)第36号,109-124頁, 2018年12月。③野澤丈二「食のグローバリゼーション:コロンブス以降のワインについて考える」『ヨーロッパ研究』(東北大学大学院国際文化研究科ヨーロッパ文化論講座)第13号,175-182頁,2019年3月。また,本課題の研究成果を公表するためのホームページの公開準備作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究課題に則した海外出張の実施や研究メンバーそれぞれがその研究成果を公表できたこと,またホームページの公開準備や次年度の予定している研究成果の集約と公表のための国際研究集会の準備も順調に進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たる次年度は,これまでの研究成果の集約と公表が大きな課題であり目標である。そこで,研究代表者は,本研究課題について専門的知識と有益な視点を有するオランダ人研究者を招聘して国際研究集会を実施し,比較会計史的観点から研究報告と議論を行うことによって,これまでの研究成果をブラッシュアップさせることとする。具体的には,オランダ会計史学における第一人者と目され,オランダ東インド会社(連合東インド会社,Verenigde Oostindische Compagnie; VOC)長崎支店の経営や収益性などについても優れた業績を有する,オランダ・アムステルダム自由大学Cees Camfferman(キース・カムフェルマン)教授を招聘し,滞在期間中に2回の国際研究集会を実施する。第一部は,Study on business management and accounting system of 17th century Dutch East India Company Nagasaki Branchと題して,オランダ東インド会社の会計史的問題について討論を行い,第二部は,Camfferman教授による“Forging accounting principles” especially in Japan: A comparative reviewと題された講演を中心に行い,同教授の最近の研究から,本研究の基底をなす会計史学の重要性について検討する機会を設ける。またこの他,本年度から作成を始めた本研究課題の研究成果を公表するためのホームページの構築の継続と公表を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者,研究分担者ともにこれまでの研究計画に従って適切に研究費を使用してきたが,研究代表者にあっては,研究成果公表用のホームページ作成を次年度にまたがって実施することになったため,その制作費の一部を次年度に繰り越すこととした。また,研究分担者の一人は,年度後半から在外研究に出ることとなったため,以降の支出を抑制した。また,その他2名の分担者にあっても,研究遂行上支障のない範囲で研究費の節約に努めた結果,次年度への繰り越し分が出ることになった。そこで最終年度である次年度では,これまでの研究成果の集約と公表の場として国際研究集会を予定していることから,繰越金額の多い研究分担者への配分を当初よりも抑制し,当該研究集会の開催経費に振り向けることとした。
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