研究実績の概要 |
研究期間の初年度に当たる平成29年度では、まず、組織内と組織間での原価管理活動の双方向的な関連性についての理論的基盤を構築するために、管理会計や隣接領域の先行研究の整理を包括的に実施した。具体的には、組織内と組織間での原価管理活動の相互関連性に関わる欧米の管理会計研究(Coad and Cullen,2006; Cooper and Slagmulder,1999, 2004; Cuganesan,2006; Dekker,2016; Fayard,Lee,Leich and Kettinger,2012; Kajuter and Kulumala,2005; Mouritsen, Hansen and Hansen,2001; Rusen and Stouthuysen,2017; Wouters,Anderson and Wynstra,2005など)や、日本企業の原価管理実務に関わるわが国の管理会計研究(岡野,1995; 加登,1993; 谷,1996; 諸藤,2013; 門田,1993など)である。これに加えて、管理会計の隣接領域の研究(Kale,Dyer and Singh,2002; Schreiner,Kale and Corsten,2009; Wang and Rajagopalan,2015 など)も範囲に含めることにより、網羅性を確保するよう工夫した。これにより、基礎となる組織間マネジメント・コントロール、組織間と組織内での原価管理活動に関連する概念や双方の関連性、さらに、両者の相互関連性に影響を与える要因について、多くの知識を獲得することができた。 また、組織内と組織間の原価管理活動の双方向的な関連性や、その基礎となる組織間マネジメント・コントロールに関わる研究報告を実施し、国内外の研究者と広範な意見交換を行った。加えて、組織間マネジメント・コントロールを専門とする国外の研究者と打ち合わせを行い、本研究課題の遂行上考慮しなければならないポイントを明確化した。
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