研究実績の概要 |
研究期間の第三年度に当たる令和1年度では、前年度まで精力的に実施してきた組織内と組織間の原価管理活動との関連性についての文献レビューを整理するとともに、これをふまえた両者の関連性にかかわる概念モデルの構築を実施した。 まず、①組織内や組織間の管理システムを構成する要素については、コストマネジメントに関するわが国の代表的な管理会計研究に加えて(加登 1993; 谷 1996; 日本会計研究学会 1996など)、近年の欧米の管理会計研究を含めて整理した(Dekker, Sakaguchi and Kawai 2013; Fayard, Lee, Leitch and Kettinger 2012; Windolph and Moeller 2012など)。②次に、両者の関連性に影響を及ぼす要因については、取引コスト経済学や組織間の信頼を基礎とする欧米の管理会計研究や関連領域の研究(Anderson and Dekker 2005; Arino, Reuer, Mayer and Jane, 2014; Das and Teng 1996; Dekker 2008; Krishnan, Miller and Sedatole 2011など)だけでなく、近年の管理会計や関連領域の研究動向を反映するように整理した(Rusen and Stouthysen 2017; Rusen, Stouthysen, Roodhooft, Van Den Abbeele and Slabbinck 2020; Stouthysen, Slabbinck and Roodhooft 2012など)。さらに、③これらの相互作用を想定することで、組織内と組織間の原価管理活動の関連性にかかわる概念モデルを構築した。 加えて、上記の検討過程から生じた研究成果の一部を学会において逐次報告した。
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