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2019 年度 実施状況報告書

組織内と組織間の原価管理活動の双方向的な関連性に関する実証研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K04085
研究機関名古屋大学

研究代表者

坂口 順也  名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (10364689)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード組織内 / 組織間 / 相互作用 / 原価管理 / 経験的研究
研究実績の概要

研究期間の第三年度に当たる令和1年度では、前年度まで精力的に実施してきた組織内と組織間の原価管理活動との関連性についての文献レビューを整理するとともに、これをふまえた両者の関連性にかかわる概念モデルの構築を実施した。
まず、①組織内や組織間の管理システムを構成する要素については、コストマネジメントに関するわが国の代表的な管理会計研究に加えて(加登 1993; 谷 1996; 日本会計研究学会 1996など)、近年の欧米の管理会計研究を含めて整理した(Dekker, Sakaguchi and Kawai 2013; Fayard, Lee, Leitch and Kettinger 2012; Windolph and Moeller 2012など)。②次に、両者の関連性に影響を及ぼす要因については、取引コスト経済学や組織間の信頼を基礎とする欧米の管理会計研究や関連領域の研究(Anderson and Dekker 2005; Arino, Reuer, Mayer and Jane, 2014; Das and Teng 1996; Dekker 2008; Krishnan, Miller and Sedatole 2011など)だけでなく、近年の管理会計や関連領域の研究動向を反映するように整理した(Rusen and Stouthysen 2017; Rusen, Stouthysen, Roodhooft, Van Den Abbeele and Slabbinck 2020; Stouthysen, Slabbinck and Roodhooft 2012など)。さらに、③これらの相互作用を想定することで、組織内と組織間の原価管理活動の関連性にかかわる概念モデルを構築した。
加えて、上記の検討過程から生じた研究成果の一部を学会において逐次報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和1年度の前半では、これまでの広範な研究レビューを基礎として、①組織内や組織間の管理システムを構成する要素(目標設定や業績評価、支援や問題解決、詳細な情報共有など)の整理、②両者の関連性に影響を及ぼす要因(不確実性、資産特殊性、取引規模、信頼、戦略など)の整理、および、③これらの関連性を表す概念モデルの構築と修正を実施してきた。また、関連する研究成果を学会において逐次発表してきた。
しかし、令和1年度の後半に予定していた概念モデルの精緻化のための取り組み、すなわち、国内の他の管理会計研究者との意見交換、国内の実務家との意見交換、海外の管理会計研究者との意見交換などが、1月以降の新型コロナウィルスの影響により十分に実施できていない状況にある。とりわけ、本年度末に予定していたインタビュー調査のための国内出張や、研究打ち合わせのための海外出張(オランダ、アムステルダム自由大学など)が、直前においてすべて中止となっている。
概念モデルの精緻化は、本研究において最終的に予定している質問票調査の良否に大きな影響を与える取り組みである。本研究の最終的な研究成果が、管理会計研究の進展に貢献するためには、国内の他の管理会計研究者、実務家だけにとどまらず、世界的に活躍する海外の管理会計研究者と直接意見を交換することが不可欠であると考える。
こうしたことから、現在までの本研究の進捗状況は、やや遅れていると判断できる。

今後の研究の推進方策

これまで、管理会計の領域だけでなく関連する領域(取引コスト経済学、戦略論、組織論など)を含めて広範な研究レビューを実施し、組織内と組織間の原価管理の関連性について整理してきた。また、この包括的なレビューをふまえて、①組織内や組織間の原価管理活動を構成する要素や、②両者の関連性に影響を及ぼす多様な要因を抽出し、かつ、③これらの関連性を表す概念モデルを構築してきた。さらに、こうした研究活動の成果を学会において報告するとともに、研究論文として公表してきた。
しかし、新型コロナウィルスの感染拡大により、予定していた概念モデルの精緻化のための取り組みの一部が実施できなかった。とりわけ、海外の管理会計研究者との研究打ち合わせは、直前において中止となった。概念モデルの精緻化は、本研究で最終的に実施予定である質問票調査の基礎となるため、本研究の進捗は、やや遅れた状況にあるといえる。
そのため、今後は、国内や海外の管理会計研究者と可能な限り連絡を取りながら、概念モデルの精緻化のための取り組みを、状況に応じて着実に実施することを予定している。また、これまで収集したデータなどを積極的に活用することを通じて、組織内と組織間の原価管理活動の関連性に関する現時点での概念モデルの妥当性について、慎重に検証することを計画している。さらに、本研究の最終的な目標を達成できるように、これまでの研究成果を集約し、公表することを予定している。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスの影響により、予定していた研究活動の一部が十分に実施できなかった。とりわけ、年度末に予定していた海外の管理会計研究者(オランダ、アムステルダム自由大学など)との研究打ち合わせは、直前において中止となった。そのため、次年度使用額において差額が生じることとなった。
今後は、国内や海外の管理会計研究者と可能な限り連絡を取りながら、概念モデルの精緻化のための取り組みを、国内外の状況に応じて着実に実施することを予定している。また、これまで収集したデータなどを活用するため、分析のための情報基盤の整備などへの支出を計画している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 企業活動のグローバル化とわが国管理会計研究の検討課題2019

    • 著者名/発表者名
      坂口順也
    • 雑誌名

      国際会計学会年報

      巻: 43/44 ページ: 35-46

  • [学会発表] 経験と探索が組織間協働の実施に与える影響2019

    • 著者名/発表者名
      坂口順也
    • 学会等名
      日本原価計算研究学会
  • [学会発表] わが国マネジメント・コントロール研究の展開2019

    • 著者名/発表者名
      横田絵理・乙政佐吉・坂口順也・河合隆治・大西靖・妹尾剛好
    • 学会等名
      日本会計研究学会

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公開日: 2021-01-27  

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