研究実績の概要 |
令和4年度では、昨年度に実施したわが国の製造業に対する質問票調査の回答結果について分析した。具体的には、①わが国の製造業を対象とした質問票調査の回答結果の統計的な分析、および、②先行研究を基礎とした分析結果の解釈と発見事項の整理である。 まず、①質問票調査の回答結果の統計的な分析については、とくに組織間での原価管理やマネジメント・コントールに関する先行研究を参考にしながら実施した。すなわち、組織間の原価管理やマネジメント・コントロールに関する欧米の代表的な研究(Anderson and Dekker 2005; Dekker 2008)、欧米における近年の新たな研究(Reusen et al. 2020)、および、これまで公表してきた研究(坂口 2019, 2020)などである。また、実施した分析としては、各変数の記述統計や相関係数の計算、平均値の差の検定、因子分析、および、各変数を用いた重回帰分析などである。 次に、②分析結果の解釈と発見事項の整理については、様々な領域の先行研究を参考にした。ここにおいて参考にした先行研究としては、組織間の原価管理やマネジメント・コントロールといった管理会計の領域だけでなく、関連する領域(取引コスト経済学、経営戦略論、経営組織論、生産管理論、マーケティング論など)があげられる。これにより、質問票調査の回答結果が示唆する学術的・実務的な意義を整理した。 なお、令和4年度は、本研究の最終年度に当たる。そのため、これまで実施してきた包括的な文献調査、日本企業を対象としたインタビュー調査や質問票調査、さらに、これまで公表してきた研究について概観し、本研究の当初の目標が達成されたことを確認した。
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