研究課題/領域番号 |
17K04087
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
中嶌 道靖 関西大学, 商学部, 教授 (10227803)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 環境管理会計 / マテリアルフローコスト会計 / MFCA / サステナビリティ |
研究実績の概要 |
これまでのMFCAによる改善実施調査から、MFCAで効果の高かった日本企業を選定し、企業での現地調査を実施した。MFCAによる資源生産性の効果を具体的にまずは物量情報レベルで検証し、その改善効果が製造コストなどにどのように反映しているのかを調査した。また、関係する本社部門にもインタビュー調査し、工場や事業所などの事業サイトでの資源生産性向上を、本社がどのように把握・評価しているのか、またはすることが可能なのかを調査した。さらに企業のサステナビリティ情報への発展可能性も検討した。同様な視点で、アジア企業(日本企業も出資している現地製造業など)でも、事業サイトでのMFCA情報による資源生産性向上の実施と企業の業績評価指標との関係をインタビュー調査した。そして、発展途上国での企業の環境レポートなどのサステナビリティ情報としての活用可能性を具体的に検討した。 また、資源生産性情報の有用性を検証するために、MFCAの発想国でありサステナビリティ研究も進むドイツでの調査を実施した。ドイツにおいて、Non-financial Informationなど資源生産性情報を、企業がどのように開示しはじめているのかを調査した。さらに、ドイツのMFCA導入企業(Pforzheimにある製造業)において、MFCAによってどのような改善効果を得られたのかをPforzheim大学M. Schmidt教授にインタビュー調査した。また、その他に、ドイツでの共同研究者(Augsburg大学B. Wagner教授、Stuttgart大学B. Pedell教授など)との研究打合せも実施した。 今回、海外での調査での資料作成や日本での研究成果など、2年目以降の学会発表なども考慮して、英語による調査記録や資料を整理し作成した。また、適時、必要な環境管理会計やサステナビリティ研究に関する文献等の資料を購入した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画書で予定した内容(企業調査・工場調査)を概ね実施することができた。さらには、海外での調査として、具体的にタイ(Chiang Mai University)、台湾(工研院・綠能與環境研究所/環境管理研究室)との共同研究の2018年度からの実施が具体化した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の研究成果を踏まえて、今回協力いただいている日本企業への追加調査と、タイならびに台湾でのMFCA調査を実施し、さらにはEUやドイツの非財務情報(Non-financial Information)などに関するインタビュー調査も実施する予定である。 また、国内外のMFCA導入企業に関しては、MFCAによる改善活動の現状を調査し、その成果をどのように財務上の業績評価と統合しているのかをインタビュー調査する。EUやドイツの非財務情報に関する調査では、情報の発信側のドイツ企業や情報を受け取る側の金融機関など外部ステークホルダーへのインタビュー調査を実施する。 さらに、タイおよび台湾でのMFCA事例研究に活用し、発展途上国でのMFCA情報を基礎としたサステナビリティ情報の開発を、現地での事例研究として試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
一部の文房具の購入が間に合わなかったために、一部の額を次年度に繰り越した。 また、次年度の使用額は、次年度の研究計画に基づき、国内・海外の調査旅費、国際会議や国内学会での研究成果発表の旅費や参加費、さらに、必要とする研究資料の購入などに充てる。
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