本研究では、経営者の裁量が混入する会計情報が企業による実物投資とどのような関係にあるのかを理論的に検証した。特に、本研究では企業内部における権限移譲と生産数量に関するプレアナウンスメントという2つの観点から、この問題にアプローチした。第一に、企業内部の事業部門の影響力をコストによって測定したとき、そのコストが大きいほど企業は当該事業部門に権限移譲を図る傾向がある。第二に、取引関係がある二つの企業の間で株式所有関係が存在する場合、持ち分の大きさによって、プレアナウンスされる生産水準が過大になる状況を明確にした。両者の分析を通じて、会計情報と実物投資が相互に影響を及ぼすことを明らかにした。
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