研究課題
基盤研究(C)
1990年代以降の大学進学率上昇を受けて、大学進学のメリットが減少したかどうかを多角的に検討した。1985年から2015年の4時点のSSM調査(社会階層と社会移動全国調査)を用い、学歴の職業的・経済的収益の変化について分析した。その結果、男性では学歴と職業の関連は安定的であり、学歴収益率は4時点で安定していることが示された。これらの結果は年齢層を若年層から壮年層に広げても安定的であった。以上から、高学歴化によって大卒者の供給は増加したが、それに伴う大卒の有利さは安定的であることが確認された。
社会学
景気の低迷や学費の高騰にもかかわらず大学進学率は上昇し続けている。大卒者の供給増加は、大卒学歴の希少性の低下による収益率の低下を導く可能性もある。本研究では、大学進学のメリットを経済収益だけでなく職業収益についても検討した。4時点のSSM調査を用いた分析の結果、男性では学歴と職業の関連は安定的であり、学歴収益率は4時点で安定していることが示され、これらの結果は年齢層を若年層から壮年層に広げても安定的であった。以上から、学歴収益の安定が投資としての学歴を支えていることが示唆される。