研究課題
基盤研究(C)
本研究の成果は、行列理論とそれに基づく計算手法を社会調査データ解析に応用するための新たな手法を提案し、応用を進めたことにある。研究期間には第一に、欠損値を含むデータセットを扱う際のリストワイズ削除法の最適な変数・ケース選択手法を改良した。第二に、変数のウェイト要因を考慮に入れた、分析対象とすべき変数・ケースの選択アルゴリズムを開発し、社会調査データに応用するためコードをR言語により作成した。
社会学
近年の調査データの統計解析技法の顕著な発展に比して、欠損・欠測を含む社会調査データへの対処手法はあまり注意が払われてこなかったが、その点を考慮しないままだと分析結果は誤ったものになる可能性がある。本研究の成果はそうした起こりうる推定バイアスを回避するための技法上の洗練という点で重要な学術的意義を持つ。また、学際的・国際的な共同研究を進め議論を深めることを通じて、日本のジェンダー不平等や家族にかんするインプリケーションを再考しながら世帯状況を明らかにしたことは社会的意義である。