文献による理論研究、地域研究を行うとともに、奄美大島、与那国、石垣で、フィールドワークを行った。また、これまでの成果に基づき、日本社会学会で研究報告を行った。 理論研究では、引き続き、記憶論とコミュニティ論を照らし合わせ、その意義について検討した。また、それらの理論的考察に基づき、地域誌、字誌などを基に、地域の記憶と基地建設の関係とを検討した。 フィールドワークでは、8月に、自衛隊基地が配備された奄美大島において、自治体でヒアリングをおこなった。また、奄美市防衛協会、瀬戸内町防衛協会、基地建設地の奄美市大熊地区の町会、瀬戸内町節子地区の自治会でのヒアリングを行うとともに、戦争遺跡などの視察、図書館などでの資料収集を行った。8月から9月にかけて、自衛隊基地が配備された与那国、また、配備が計画されている石垣において、自治体でのヒアリングを行った。与那国では公民館長に加え、かつての反対派の住民、石垣では川原、開南、於茂登、嵩田地区の公民館長、また配備反対派や住民投票推進派の市民団体からヒアリングを行うとともに、基地建設予定地の視察、図書館などでの資料収集を行った。 10月には、第92回日本社会学会大会で、記憶論、コミュニティ論に基づき、奄美大島での基地建設による地域社会への影響について報告を行った。 今後、4島の自衛隊配備の進捗による地元の状況に着目しつつ、国防施設による地域社会への影響について、引き続き検討したい。また、他の地域をも視野に入れ、記憶論、コミュニティ論に基づき、国境における防衛について、国家と地域の関係を念頭に、検討を進めたい。
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