研究課題/領域番号 |
17K04106
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研究機関 | 神戸女子短期大学 |
研究代表者 |
永井 久美子 神戸女子短期大学, その他部局等, 准教授(移行) (20615108)
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研究分担者 |
川村 高弘 神戸女子短期大学, その他部局等, 教授(移行) (20442395)
竹田 明弘 和歌山大学, 観光学部, 准教授 (90330505)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 保育職 / バーンアウト / うつ / ストレス / 影響要因 |
研究実績の概要 |
本研究では、先ず、過去にバーンアウトを発症した元保育者1名を対象とし、採用から離職までのプロセスの分析を行った(日本カウンセリング学会第52回大会(2019))。その結果、バーンアウトの要因として、同僚との関係性や家族のサポート、園長の保育への理解度など他者との関係性と休めない就労条件の悪さがあると示唆された。 次に、ストレスから派生する症状(バーンアウト、うつ)の関連を明らかにするために、全国70園の認定こども園198名の常勤保育者を対象として、Web質問紙調査を実施し、分析を行った(日本保育学会第73回大会)。 (1)抑うつ症状は同僚からのソーシャルサポート、および家族・友人・大切な人からのソーシャルサポート両方の影響を受けるのに対し、バーンアウトは同僚からのソーシャルサポートの影響が大きい事が示唆された。保育職は同僚性が求められる職種であるため、家族や友人など職場外の援助資源が充実していたとしても限界があり、職場内での援助資源を活用できるように職場環境を整えていくことが必要であると考えられる。 (2)自己を肯定的に捉えることで、日々蓄積していく疲労感、虚脱感が軽減されることが推察できる。また、お互いが認め合い、助け合いながら仕事をしていくことができれば、子どもや保護者、同僚及び仕事に対するネガティブな感情や行動が軽減される可能性のあることが示唆された。さらに、自分に合った目標を定め、課題に取り組むことが仕事における達成感や充実感が得られる可能性のあることが示された。 (3)保育者の離職が、単純にある保育者同士の関係性のこじれや悪化ではなく、複数の要因が絡まって生起する出来事であることが理解できる。ゆえに、バーンアウトによる離職への予防については、保育者が持ついくつかの要因を解きほぐして、複数の要因の存在を顕在化することが第1歩となる。
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