「国際移民による国民国家への挑戦」の観点から移民・外国人に関する市民権制度の変容をリベラル化の観点から考察していった。まずはリベラル化が進んでいる国がある一方、それに抗している国もあるというようにばらつきが確認された。このようなリベラル化/反リベラル化のメカニズムはどのようなものだろうか。市民権制度を重国籍の扱いに絞って考察した結果、重国籍を容認するロジックには少なくとも4つ存在することがわかった。その4つとは、(1) 相互的承認 (2) 統合の手段 (3) 功利的解決 (4) 超国家アイデンティティである。そのどれも満たしていない場合、市民権の反リベラル化的傾向が残存する可能性が高い。
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