研究課題/領域番号 |
17K04109
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
梁 仁實 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (20464589)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 韓国映画 / 植民地 / ジェンダー / 映画空間 |
研究実績の概要 |
本研究2年目の今年(2018年度)は前年度の研究課題である「<戦後>韓国映画のなかのマイノリティーと植民地の表象」を引き続き考察しつつ、このテーマをさらに発展・拡大した形で研究を行った。具体的には以下の二つの点に注目した。 1)近年製作されつつある韓国映画は日本でどのように受容されているのか、2)日本においては戦後直後朝鮮映画がどのように受け入れられていたのか、3)植民地朝鮮で映画事業を行っていた在朝日本人はどのようにそれらを実行していたのか という3つである。 これらの課題については、それぞれ1)口頭発表「韓国映画における「負の記憶」と日本への受容」(2018年8月25日、タイ国日本研究国際シンポジウム2018、於:チュラーロンコーン大学文学部)、2)口頭発表「忘れられた過去の記憶と朝鮮/映画-雑誌『ソヴェト映画』を中心に」(2018年9月13日、世界韓国学大会、於:韓国学中央研究院)、3)共著「複合映画上映館 明治座の社会史」(山本浄邦ほか編『明洞 街角の文化史』、2019、韓国学中央研究院出版部)にて成果を公開した。 さらに、各研究においては、1)植民地を描く韓国映画が異性愛/同性愛、親日/反日、朝鮮語を話す日本人/日本語を話す朝鮮人など様々な境界を崩しながら多様な歴史へのアプローチが行っているのに対し、日本に受容されるときは既存の「親日/反日」フレームに注目されること、2)戦後日本において朝鮮映画はどのように認識されていたのかを考えるため、1950年代半ばいわあゆる左翼知識人/文化人たちが編集していた雑誌『ソヴェト映画』の分析を通して、戦後日本のなかで忘れられていた「朝鮮/映画」とはいかなるものなのかを考察し、3)植民地朝鮮の京城で映画興行にかかわっていた在朝日本人のうち、今も現存している明洞芸術劇場(旧明治座)の歴史を辿り、植民地期朝鮮映画の複雑で重層に絡み合う映画興行界について考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は<戦後>韓国で作られた「植民地」表象に着目しており、今年度の研究ではそれらの研究を拡大し、日本への受容、さらに当時植民地朝鮮で映画にかかわっていた人々についても調査ができたので「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
研究3年目である2019年度は今までの研究を踏まえ、まとめつつ、さらなる文献調査と資料収集を行う予定である。また、ドイツのワークショップでの口頭発表(2019年7月)も予定されているので、研究成果を発表する機会を積極的に生かし、今までの研究をまとめる年度にする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は生じていない。
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