研究課題/領域番号 |
17K04119
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研究機関 | 明治学院大学 |
研究代表者 |
長谷部 美佳 明治学院大学, 教養教育センター, 准教授 (30624118)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 移民 / 難民 / 社会統合 / オーラルヒストリー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本に在住するインドシナ難民の社会統合の現状を、当事者の聞き取り、あるいは歴史的資料から考察するものである。そのため、①社会統合 の状態についての理論的枠組みを構築すること、②難民当事者および支援者へのオーラルヒストリーを収集すること、③歴史的資料を集めて、受け入れにまつわる歴史的背景を明らかにすること、の3つを、本研究で達成することを位置づけている。 平成31年は、オーラルヒストリーの聞き取りは、関西地区(姫路市)と東海地区(浜松市)で難民の当事者への聞き取りを数名ずつ行った。また、支援者への聞き取りとしては、群馬県内での難民支援者を訪問し、支援者への聞き取りと施設の視察を行った。参与観察としては、ラオス難民コミュニティへの視察を初めて行い、またラオス難民研究者との関係構築ができた。関西地区でのベトナム難民寺院の視察を初めて行い、季節の行事に参加することを通して参与観察をおこなった。また同じく関東でカンボジアの難民コミュニティの寺院見学等は継続している。 またライフストーリー研究会に新たに加盟し、研究報告を実施し、また日本社会学会においても報告を行った。残念ながら雑誌での公表は、不採用となったために実現していないが、引き続き投稿を続けて公表したいと考えている。 ただ、平成31年度は以下でも述べるものの、2,3月に予定していた調査が、コロナウイルスの関係で実施できなくなったため、次年度に実施していきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成31年度は、2-3月に実施しようとしていた聞き取り、および資料収集が、コロナウイルスの影響のため全くできなくなってしまった。大幅に進捗が遅れている。参与観察は、ベトナム難民、カンボジアの難民コミュニティの寺院見学等は継続しているものの、やはりこちらも2‐3月がまったく調査ができなかった。 また、本テーマと関連のある書籍の出版も計画しているが、こちらも出版社の都合で遅れている。 聞き取り音源のテープ起こしも、業者選定が難しく、実現していない。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度にできなかった調査は、これまで長期休暇で進めることを常に計画してきたが、長期休暇など以外の時間を使って、確実に進めていきたい。歴史的な資料については、公的文書についての収集に不足があるものと思われるので、今後は議会の資料や、行政資料についても収集を目指していきたい。 平成30年度中の懸案だったラオスの難民については、ラオス難民の研究者と新しく関係を構築できた。こうした人脈を使って、聞き取りを進めていきたい。日本人の支援者に対する聞き取りも、このまま同様のペースで進めていきたいと考えている。宗教団体の支援者に話を聞くことができたが、宗教団体や可能であれば行政組織にも聞き取りの対象を広げていきたい。昨年報告したテープ起こしの状況も、新たにテープ起こしの事業者を見つけられそうであり、こちらも遅れを取り戻したいと思っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
差額が生じた理由の一つが、オーラルヒストリーの聞き取り音源をテープ起こしができていない状態であることである。騒音があるなどの状態での録音等、聞きづらく一般の業者に依頼出来ない状態であったため、業者の選定を行っていたが、それに時間がかかってしまったことである。また、出版の計画があったものの、出版社の事情により計画が進まなかったこともあり、こちらも計画通り予算の執行ができなくなった。さらに、2,3月に予定していた国内調査がコロナウイルスの関係で出来なくなり、こちらも調査が進んでいない。 業者の選定については、決定できたので、こちらもすぐに計画が執行できること、また出版の計画も、順当に進んでいて、こちらも今年度中に執行できる目途がたっている。さらに、調査も夏期とそれ以外の時期にも実施をし、計画通りに調査および予算の執行できる見通しである。
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