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2018 年度 実施状況報告書

「ポストフクイチ社会」に向けた原発立地県における地域公共圏構築についての研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K04120
研究機関新潟大学

研究代表者

渡邊 登  新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (50250395)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード公共圏 / 持続可能性 / コミュニティ / 再生可能エネルギー / 原発 / SDGs
研究実績の概要

①前年度の聴き取り調査に基づいて、立地自治体(柏崎市)の住民に対して、生活意識、コミュニケーション行動、コミュニティ意識・行動、政治意識・行動、原発問題に関する態度等々について郵送調査を行った(以下、「18調査」)(標本数2,000、回収票915、回収率45.8%)。質問項目としては2014年実施の住民調査(「14調査」)に2016年以降の各種選挙(衆議院・参議院、県知事、市長選挙)に関する投票行動、周辺地域の世論との相互影響関係(の有無)を確認するための設問を加えたものである。柏崎刈羽原発再稼働についての住民意識については稼働派<廃炉<将来的脱原発となり、再稼働派は変わらないが、「将来的」(53.4→47.0)よりも「即時廃炉」(27.1→34.0)が増えている。ただし、「14調査」と同様に若い世代ほど「再稼働」派が多くなる。特に20代は過半数近く(30.6→45.7)が「再稼働」となっているが、原発再稼働についてのアンビバレントな意識が存在しており、電力供給の安定化、雇用機会確保、地方財政の安定化等の期待から再稼働を支持する一方で、地震の災害による事故のリスク、使用済み核燃料最終処分方法の未確定、事故時の(実効ある)避難計画が作成されていないこと等々で再稼働について高いリスクを認識しており、この点で若い世代も再稼働に躊躇せざるを得ないという「14年調査」と同様の傾向を確認できる。
②周辺自治体(新潟市)としては新潟市とパートナーシップ協定を結び再生可能エネルギーによる持続可能な地域づくりを志向する脱原発運動として「おらってにいがた市民エネルギー協議会」に焦点をあて、継続的に運営委員会、定例会への参与観察を行い、同会の再エネを焦点としたSDGsに向けた取り組みに関する詳細な調査を行った。
③福島県からの両地域への避難者の定着・移動等について、継続的な聴き取り調査等を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初、9月ないし10月に予定していた柏崎市有権者への郵送調査が諸般(学務・教育)の事情により2ヶ月以上も遅れ、実査が1月となり、さらに調査結果の入力完了が3月末となったために、調査結果分析日程に遅延が生じていること、また調査実査の遅れから、当初、「18調査」に関する分析結果の報告論文を2018年度内に執筆予定であったが、今年度に持ち越しとなったこと、また韓国への調査については今までインフォーマントでかつ通訳を御願いしていた研究者が昨年度も個人的事情により、協力が不可能になったため、調査計画を中断せざるを得なくなったことが、その主な理由である。

今後の研究の推進方策

①「18年調査」について更なる詳細な検討を行う。特に「ポストフクイチ調査」(渡邊、2016a)からの本調査プロジェクトの基本枠組みである原発への「反」「脱」「維持」の軸と、コミュニティの持続的「発展・再生」(自立志向←→依存志向)軸とを交差させた地域類型(地域社会構想)において、脱原発・自立(=持続可能な地域)の基層となりうる住民層の可能性(不可能性)を探る。
②柏崎・刈羽地域において「地域の会」を中心として行政関係者、原発推進派、反対派、中間派等のリーダー、サブ・リーダーに対して行ってきた聴き取り調査記録を再検討し、今後の地域社会構想具体化のエージェントモデルを考察する。
③「おらって」の定例会・運営委員会・イベント及び「岩室プロジェクト」等に関する参与観察、聴き取り調査を継続し、市民の再エネによるSDGsに向けた取り組みの具体的可能態として詳細なモノグラフを作成する。
④福島県からの両地域への避難者の定着・移動等について聴き取り調査等で考察する。

次年度使用額が生じた理由

当初、9月ないし10月に予定していた柏崎市有権者への郵送調査が諸般(学務・教育)の事情により2ヶ月以上も遅れ、実査が1月となり、さらに調査結果の入力完了が3月末となったために、入力費等に関する支出が年度を超えて支出する必要がでたため。、

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公開日: 2019-12-27  

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