研究課題/領域番号 |
17K04120
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
渡邊 登 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (50250395)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 公共圏 / 持続可能性 / コミュニティ / 再生可能エネルギー / 原発 |
研究実績の概要 |
①2014年に原発立地自治体住民である柏崎市民に対して行った、生活意識、コミュニケーション行動、コミュニティ意識・行動、政治意識・行動、原発問題に関する態度等々を把握する調査票調査結果(「ポストフクイチ調査」(渡邊、2016a))と今回2019年に(一部の政治項目以外は共通の調査項目)行った調査結果に関して、原発への「反」「脱」「維持」の軸と、コミュニティの持続的「発展・再生」軸とを交差させた住民類型の分布確定を行い、この4年間での変化、特に、脱原発・自立(=持続可能な地域)の基層となりうる住民層の可能性(不可能性)を検討する作業を行った。 ②さらに、「ポストフクイチ調査」に引き続いて行ってきた「地域の会」を中心として行政関係者、原発推進派、反対派、中間派等のリーダー、サブ・リーダーへの聴き取り調査結果を検討し、「ポストフクイチ調査」と同様に、脱原発へ向けた地域社会の将来設計(脱原発・自立的な持続可能な地域設計)について一定程度の同意と,そこに至る道程について多様性を再確認した。 ④周辺地域(新潟市等)として地域住民が主体となった再生可能エネルギー事業体(「おらって新潟市民エネルギー協議会」(以下「おらって」)の展開に着目した。「おらって」は現在まで2MWの太陽光発電事業を主軸として、新潟市と2015年、村上市と2018年に「持続可能な低炭素まちづくり推進のためのパートナーシップ協定」を締結しており、ソーラーシェアリング、小水力事業への展開も視野に活動を展開している。この「おらって」に関して2015年以降参与観察(毎週の運営委員会、月1回の定例会、市民・学生向けの環境教育活動、再生可能エネルギーを軸とした「地域循環共生圏」形成に向けた活動)を継続しており、そこで得られた詳細なフィールドノーツによって地域主体による再エネ事業展開を可能にするための諸条件または課題の検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
(研究計画年度中)に人文社会科学系(人文学部、法学部、経済学部、教育学部、創成学部を統括)の副学系長となり、学系学務全般作業に忙殺され(昨年度会議数100回超)、当該年度は新潟市内での対象団体への参与観察以外の調査研究に従事することができず、そのため計画の進行状況が著しく遅れており、現在、調査結果のとりまとめ、補充調査研究などを行っているが、今年度中に完了することが著しく困難になっているため。
|
今後の研究の推進方策 |
①「18年調査」についての昨年度に続いて更なる分析を行う。特に「ポストフクイチ調査」(渡邊、2016a)からの本調査プロジェクトの基本枠組みである原発への「反」「脱」「維持」の軸と、コミュニティの持続的「発展・再生」(自立志向←→依存志向)軸とを交差させた地域類型(地域社会構想)において、脱原発・自立(=持続可能な地域)の基層となりうる住民層の可能性(不可能性)を更に探る。 ②柏崎・刈羽地域において「地域の会」を中心として行政関係者、原発推進派、反対派、中間派等のリーダー、サブ・リーダーに対して行ってきた聴き取り調査記録を再検討し、今後の地域社会構想具体化のエージェントモデルを考察する。 ③「おらって」の定例会・運営委員会・イベント及び「岩室プロジェクト」等に関する参与観察、聴き取り調査を継続し、市民の再エネによるSDGsに向けた取り組みの具体的可能態として詳細なモノグラフを作成する。 ④福島県からの両地域への避難者の定着・移動等について聴き取り調査等で考察する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(研究計画年度中)に人文社会科学系(人文学部、法学部、経済学部、教育学部、創成学部を統括)の副学系長となり、学系学務全般作業に忙殺され(昨年度会議数100回超)、当該年度は新潟市内での対象団体への参与観察以外の調査研究に従事することができず、そのため計画の進行状況が著しく遅れており、今年度中に調査結果を完了することが著しく困難になった。今年度は対象地域での補充調査(柏崎市のリーダーへのインタビュー補充調査)、「おらって」参与観察の継続を行い、本科研調査研究のとりまとめを行う。
|