研究課題/領域番号 |
17K04127
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
浅野 慎一 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (40202593)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 夜間中学校 / 義務教育 / 労働市場 / 地域社会 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、戦後の6期の時期区分の中で、主に第1期「戦後混乱期(1947-55年)」、及び、第2期「高度経済成長期(1956-68年)」の夜間中学校、及び、その生徒の実態を明らかにし、その歴史・社会的意義を考察した。 まず第1期については、各種史料に基づき、各学校レベルに降りて、夜間中学校の①名称、②所在地、③開設年月日、④閉鎖された場合、その年月日と理由、⑤所在地域の特徴、⑥各年度入学者数、⑦同じく卒業者数、⑧在籍者数、⑨生徒の性別、⑩同じく年齢、⑪就労状況・職種等、最も基本的な特徴を把握した。これにより、当該時期における全国126校の実態を、「1947-55年における夜間中学校と生徒の基本的特徴」との論稿として総括した。その中で、東京都・神奈川県・愛知県・三重県・京都府・大阪府・奈良県・和歌山県の実態は「前篇」として既に刊行された(研究発表欄の雑誌論文)。兵庫県・岡山県・鳥取県・広島県・高知県・福岡県の実態、及び、全体の総括は「後篇」として既に執筆を完了して入稿し、次年度に刊行が決定している。なおこの執筆に当たり、高知市・広島市・福岡市で史料収集調査を実施した。 第2期については、既に収集した史料の整理・読解を推進した。その成果の一端は、地域社会学会研究例会で発表した(研究発表欄の学会発表)。 なお史料読解・分析に際し、全国夜間中学校研究会をはじめ、東京・大阪・兵庫・宮城・北海道等の夜間中学校関係者・当事者と情報を交換し、WEB上での研究会を組織している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第2期「高度経済成長期」の研究については史料整理・読解、及び、学会研究例会での発表にとどまったが、既に主要な史料は入手済みであり、おおむね研究の見通しを立てることができた。また、第1期「戦後混乱期」については、当初、1本の論稿で十分に包括的に整理し得ると予定していたが、予想を大きく上回る新史料を入手しえたため、前篇・後篇の2回に分けて成果を発表することとした。そのため、後篇の成果の発表自体は次年度にまたがることとなった。これは「遅れ」というより、当初予定以上の質的な進展であり、総じて「おおむね順調に進展している」と評価しうる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度の研究計画のうち、第2期「高度経済成長期」に関する研究成果を、確実に論稿・口頭報告として発表する。また平成30年度の研究計画に基づき、第3期「ポスト・コロニアル移行期(1969-79年)」、第4期「『国際化』期(1980-89年)」の史料収集・分析を推進する。さらに、これらの研究成果をインターネット上で一層広範に発信しうる体制を整える。全国夜間中学校研究会をはじめ、全国各地の夜間中学校関係者・当事者との連携・情報交換・史料検討は引き続き継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が50654円あるが、主要には年度末に支払うべき人件費を確実に確保するため、東京での史料収集調査を次年度初期に若干延期したためである。したがって平成30年度の早い時期に、当初予定通り出張により使用する計画である。
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