研究課題/領域番号 |
17K04129
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
水垣 源太郎 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (10294274)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域移動 / 人口移動 / ジェンダー / 女性 / 地域労働市場 |
研究実績の概要 |
平成30年度の研究実績は、(1)前年度から行っている国勢調査を中心とした人口移動データベースの構築と関連要因分析、(2)SSMの統合データセット構築と二次分析、(3)QGISによる視覚化システムの構築、(4)個人水準の移動選択モデル構築、(5)国内学会での報告の4つからなる。 (1)まず前年度に引き続き、国勢調査・住民基本台帳人口移動報告の統合データベース構築と関連要因分析を行った。この作業は当初予定よりも時間がかかり、厚労省人口移動調査の再分析は平成31年度に実施することとした。これらの作業の一部を研究補助員に依頼した。 (2)個人水準の公開データであるSSMの利用申請を行い、入手したデータについては分析モデルに対応した整形とクリーニングを施したうえで、統合データベースを構築した。統合データベースの構築と分析に際しては、R等、公開統計解析ソフトウェアの利用が可能であることがわかったため、当初予定していたプログラム開発は行わなかった。JGSSについては平成31年度に行う。 (3)地理情報システム・ソフトウェアであるQGISによって分析結果の視覚化を試みたところ、研究成果の公表方法として有効であることがわかった。そこで申請が認められた前倒し予算により、サーバ用コンピュータを購入した。現在、システムを構築中である。 (4)前年度に収集した関連文献に基づいて、個人水準の移動選択モデルを検討した。 (5)平成30年9月15日には日本社会学会大会において、本研究成果の一部を利用した報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の目標は、SSM・JGSSの統合データセット構築と二次分析である。 (1)まず前年度に引き続き、国勢調査・住民基本台帳人口移動報告の統合データベース構築と関連要因分析を行った。前年度において、当初計画にはなかった①地域労働市場データを含めたデータベースの拡張、②個人選択モデルへの精緻化を新たに行った。とくに、人口移動のみならず、地域労働市場に関する分析も視野に入れるべく、新たに産業・職業関連の市町村および小地域集計データも対象としたため、作業が平成30年度にずれ込んでいる。平成30年度には住民基本台帳人口移動報告および世帯ベースの標本調査である厚労省人口移動調査を統合データベースに加える予定であったが、前述の理由により、平成31年度に利用申請を行うこととした。前述の作業の一部を研究補助員に依頼した。 (2)個人水準の公開データであるSSMの利用申請を行い、入手したデータについては分析モデルに対応した整形とクリーニングを施したうえで、統合データベースを構築した。とくに1995年、2005年のデータの利用が中心となる。2015年については二次利用公開を待っている。 (3)構築されたデータベースを用いた移動特性とその性差および地域差の把握については、前年度収集した文献に基づいて、個人水準の移動選択モデルを検討している。これに基づいて全国データの分析を行っている。 (4)分析成果の視覚化のため、サーバ用コンピュータを購入し、地理情報システム・ソフトウェアであるQGISによるシステム構築を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度の目標は、ネット調査会社の登録モニターを利用した大規模ウェブアンケート調査および研究Ⅰ~Ⅲの統合である。 (1)前年度までの研究Ⅰ・Ⅱの成果に基づいて、分析モデルの構築と洗練を行う。 (2)ネット調査会社の登録モニターを利用した大規模ウェブアンケート調査とその分析を行う。ウェブアンケート調査では、サンプルの代表性の問題があるが、本研究の性質上、出身地で層化されたサンプルが必要であるため、その統制が可能なウェブアンケート調査法を採用する。実施はネット調査会社に委託する(5000件×20問:3500千円)。これ以外に、データの分析作業の一部を研究補助員(@900円×6h×15日×1名)に依頼する。 (3)研究Ⅰ・Ⅱ・Ⅲの成果を総合的に検討し、結論を導き出す。 (4)実施した各調査の成果を総合し、国内学会で報告を行うとともに、論文として投稿する。研究成果報告書を作成する。
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