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2021 年度 実施状況報告書

山村社会にみる森林資源を介した人的関係網の生成過程―流入者と小集落の相互作用から

研究課題

研究課題/領域番号 17K04131
研究機関広島大学

研究代表者

福田 恵  広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (50454468)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2023-03-31
キーワード森林資源 / 村落社会 / 小集落 / 資料 / 林業 / 出稼ぎ
研究実績の概要

令和3年度は、令和2年度までの調査成果を踏まえて、Aブロック(兵庫県但馬地方)と比較調査地(島根県益田市匹見町)で資料調査を行い、小集落、林業出稼ぎ者に関する情報、資料を収集した。また、研究史に関する研究成果を学術刊行物に執筆した。詳細は以下の通りである。
Aブロックの調査については、兵庫県北部香美町の小集落(小城)の調査を、電話と手紙にて実施し、集落移転の実態と木材伐採、集落財政の歴史的変遷について情報、資料を収集した。特にN家の諸資料を整理し、所蔵者と情報交換を行うとともに、あらたにN家に関する自伝的資料の提供を受けた。N家の土地の集積や共有地への関与、集落内外に対する広域的な人的ネットワークなど新たな事実が明らかになった。
比較調査地の島根県益田市匹見町の匹見下地区(匹見下公民館)にて、オンライン調査と対面調査を行い、小集落の現状と歴史および林業出稼ぎについて、情報と資料提供を受けた。匹見下地区は、町内でももっとも高齢化が進んだ地域だが、歴史的には林業や林野資源の上で重要な役割を果たした地域であり、それと連動して文化資源なども豊富に存在していることが明らかになった。
また、益田市匹見総合支所にて、役場職員、民俗研究家、地域組織代表者、神楽社中関係者等に地域資源に関する状況について対面調査を行った。
また、研究の前提となる農村社会学の研究史について検討を行い、家村論の基礎、家連合論、共同労働、村落財政、土地論、移動論、地方論、歴史研究、調査論、現代的意義などについて考察を加えた。この点については、執筆を行い成果物の出版を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

やや遅れている
令和3年度は、12月ごろまでは対面調査が困難であり、電話や手紙ないしはオンライン調査に終始したが、後半は対面調査が数回実施できた。結果として、調査の進捗状況はやや遅れているものの、小集落の調査については、自伝的資料を含め予想以上に資料の収集が進んだ。また、学説史の整理によって、農村社会学の体系的理解がすすみ、その学的布置に対する本研究の位置づけが明確になった。

今後の研究の推進方策

すでにアポイントが取れている比較地域(西中国山地)の調査を3~4回実施する。匹見町の山村的特質と林業上の変遷をまとめ、中心調査地(Aブロック東中国山地)の構造特性について比較考証する。
コロナ禍で頓挫しているA(関西・兵庫県)・B(中部)・C(高知県、徳島県)・D(関西・和歌山)E(宮崎県、大分県)ブロックおよびこれまでに明らかになった東北、北海道地域のうち、アポイントが取れる2カ所程度の調査を実施する。調査情報の確認が必要なAとCを優先したい。
調査が実施できない場合は、これまで調査経験のある中央中国山地の調査地域について、比較検討の材料を収集し、中心調査地の特性をより明確化する予定である。
また、中国山地の特質に関する論考を『村落社会研究ジャーナル』に投稿するとともに、これまでの調査データをまとめた調査資料集を作成し刊行する。また、島根県内の博物館で、森林と村落に関する講演を実施予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍によって予定していた調査が十分に実施できなかったため、次年度への繰り越しを行った。次年度には、主として、調査経費のほかに、資料整理や調査協力のための謝金、調査報告書の作成等に予算を執行する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 「『家・村』論のあゆみと現在」山本努編『よくわかる地域社会学』2022

    • 著者名/発表者名
      福田恵
    • 総ページ数
      232
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      978-4-623-09353-3

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公開日: 2022-12-28  

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