本研究は、ワンショットサーベイにならず、長期間に渡る継続した調査により地域社会の変容を明らかにすること目指していたが、コロナ禍となり、研究対象となるまちづくり活動の多くが停止されたため研究期間延長をしていた。本年度は、ポスト・コロナ禍がみえてきたこともあり、地方創生活動再開の兆しがみえてきたので、散発的ではあるが、ポスト・コロナ禍を見据えたフィールドワークを実施した。 (インバウンド)クルージング調査として、スマートクルーズアカデミーイン宮崎、神戸-大阪間をつなぐルミナスⅡのフィールドワークを実施した。当初コロナ禍の象徴ともいえるクルーズ船であったが、その後、感染対策を行い、ポスト・コロナ禍を見据えて国内船主の動きが始まっている。ルミナスⅡは既存の船主が倒産後、新会社が経営を引き継ぎ、新たな観光に向けての動きを行っていた。 サイクルツーリズム調査として、自転車利用環境向上会議(さいたま市)での報告および情報交換、ナショナルサイクルルートであるしまなみ2023、徳島ー横浜の飛行機による輪行調査を実施した。対面でのイベントが再開され、クルージング同様、ポスト・コロナ禍を見定めたインバウンド需要対応した観光事業への動きが見出された。 また、コロナ禍において、県外への調査が難しい状況であったので、昨年度から継続して、徳島県吉野川市の民間中心のまちづくり活動への参与観察を実施した。コロナ禍では、行政は様々な活動を自粛する方向に進むなか、一般社団法人kittamuを中心とした活動は、観光庁の助成金を獲得や、暗号通貨と組んだブロックチェーン技術をもととしたNFT(Non Fungible Token)の利用やDAO(Decentralized Autonomous Organization 分散型自立組織)を志向するなどして、ポスト・コロナ禍を意識した活動を開始していた。
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