これまで、ドイツの保守的な州といわれるドイツ南部のバーデン・ヴュルテンベルク州及びバイエルン州で、バイオエネルギー村の調査を実施してきた。バイオエネルギー村の村長らリーダーに対し、キリスト教やサークル団体の影響力についてインタビューすることができた。しかし、この影響力が南部に独特かどうか不明であることから、今年度は比較対象として北部の州におけるバイオエネルギー村でインタビュー調査を実施した。 具体的にはニーダーザクセン州のバイオエネルギー村の8村で24人を対象にインタビューを実施した。結果は、ほとんどの村において、サークル団体の影響力が見出された。また訪問した村の中には、反原子力運動で有名なゴアレーベンと関連する所もあり、反原発運動との関連も聞くことができた。 加えて本年度は、旧東ドイツの州であるザクセン・アンハルト州のバイオエネルギー村の2村で5人にインタビューを実施した。これら2村では、サークル団体の影響力がほとんど見られず、旧西ドイツ側の村との相違が見られた。1つの村は旧西ドイツ側の資本主義からの逃避を目指したコミューン的な村であり、もう1つの村のリーダーからはサークル団体が旧東ドイツ政府によって奨励されていない状況が聞かれた。代わりに、旧東ドイツ側は大規模農家が比較的多く農業だけで生計が成り立つことから、バイオエネルギー村への参入が旧西ドイツ側に比べ少ない状況を聞くことができた。
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