研究課題/領域番号 |
17K04136
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
徳野 貞雄 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 名誉教授 (40197877)
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研究分担者 |
藤本 延啓 熊本学園大学, 社会福祉学部, 講師 (60461620)
松本 貴文 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (70611656)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 震災復興 / 地域社会学 / T型集落点検 / 他出子 / rebornネットワーク / 太陽光発電 |
研究実績の概要 |
研究代表者の徳野貞雄は、ふるさと発・復興志民会議と連携して御船町・山都町等での復興支援活動事業を支援するとともに、その過程を科学的に検討し続けた。特に、御船町中山間地の南田代集落および水越集落において「T型集落点検」を行った。その結果、南田代集落にも水越集落においても、震災被害に加え過疎化・高齢化の進展が地域維持に強く影響していることが判明した。また、他出子が熊本市を軸に益城町等の近隣市町村に居住していることが、調査分析で判明した。このことから、復興対策として他出子の活用をベースとした復興行動計画を御船町に提示し、南田代集落および水越集落の人々と「お鍋プロジェクト」や「つばめの学校プロジェクト」を展開し、特にどんど祭りを他出子との協働システムとして実施した。住民の多くは、この地域社会学的な分析による計画的プロジェクトに、理解と協働関係を持って参加してくれた。この実践過程の成果を、現在分析中である。 研究分担者の藤本延啓は、震災復興にかかわる中間支援団体である「西原村rebornネットワーク」の代表として各種活動を行いながら、西原村を中心に、復興支援活動および関連する参与観察を継続している。さらに、昨年度において行っていた被災地におけるミクロレベルの動きへの着目と記録、および昨年度の成果論文からから発展させ、被災地域におけるミクロ-マクロリンクを観察・考察の軸足として、被災(地・者)分析にかかわる理論・概念化に向けて調査・考察を行った。その成果については、2019年度内に学会発表等を行う予定である。 研究分担者の松本貴文は、山都町中島地区における震災後の集落活性化対策として、集落ぐるみでの太陽光発電の誘致と経営について考察を深めている。また、そのために2018年度にドイツのクリーンエネルギー等との環境問題にも関心を示し、研究を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度の研究計画通りに進んでいる。平成29年度は、「T型集落点検」や「御船町震災実態調査」から、中間支援の行動計画を作成した。引き続き平成30年には、その行動計画に従い、御船町の南田代集落および水越集落に出向き、水越集落にて6回、南田代集落にて9回の協働実践活動を展開した。その中から実体的な支援活動の形成と、集落の地域課題が浮き彫りにされてきた。今後も中間支援活動を行いながら、震災復興の中間支援に関する科学的研究を継続していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度、30年度の研究課題を継続的に行う。また、震災問題特有の時間とともに発生してきた課題や地域特有の課題に対して、変化に対応できる研究体制をフレキシブルに構築し、その変化プロセスを分析していく。特に、御船町水越集落は、過疎化・高齢化による限界集落かが急速に進展し、集落分析で言う【集落がへたり始めた】という状態になりつつある。この課題は、震災復興のみならず過疎対策としての地域課題として顕在化し始めてきた。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者が予定していた海外での学会発表を、都合により取りやめた等の事情があり、次年度使用額が発生した。2019年度は、2018年度の実査等の旅費や、研究会および報告会の充実にあてる予定である。
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