研究実績の概要 |
最終年度は、コミュニティラジオ局の災害経験の継承についてヒアリング調査を継続した。熊本地震に関して2局(熊本と八代)、平成30年7月の岡山と広島の豪雨災害に関して4局(岡山市、倉敷市、広島市、熊野町)、新潟県中越地震に関して2局(長岡市、十日町)を対象とし、東日本大震災に関しても追加調査(FMたいはく)を実施した。これらの調査をもとに、繰り返される災害から現代社会を「災後・災間の社会」と位置付け、コミュニティラジオ局の災害の記憶の伝承に関する役割と課題について明らかにした。 また、東日本大震災以降、継続されている震災番組を対象として人々の語りの分析にも着手した。これまで震災の記憶がラジオというメディアでいかに語られるかという研究調査は実施されておらず、ナラティブ研究およびメディア研究として新たな知見をもって貢献できるもとのなる。 調査研究の成果発表に関しては、東日本大震災に関する研究成果の一部は第62回国際メディアコミュニケーション学会(査読付き)にて、論文“Community Radio as Apparatus to Remember Disaster: Case studies of the Great East Japan Earthquake”(KANAYAMA, Tomoko・OGAWA, Akiko共著)を発表した。この論文は学術誌にて現在査読中となっている。また、阪神・淡路大震災に関する研究成果は、「震災の集合的記憶と地域のメディア・イベント-阪神・淡路大震災の事例から-」と題した論文が第5回震災問題研究交流会研究報告書にて掲載された。 災後・災間社会におけるコミュニティラジオによる災害経験の継承に関する研究成果に関しては、現在学術誌にて査読中である。ラジオ番組における災害の語りに関しては、分析が終了次第、国際学会での発表および学術誌に投稿する予定である。
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