研究課題/領域番号 |
17K04141
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
浜本 篤史 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (80457928)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 立ち退き / 移住 / 補償 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、中国・三峡ダムにともなう住民移転を対象として、住民移転の中長期的な帰結について、研究代表者自身が実施した十数年前の調査データと照らしながら、住民の経験・認識レベルと政策レベルの両面から社会学的に解明することにある。 本研究は2019年度末に、移住者への追跡調査を実施して完了する計画で、その準備も整っていたが、新型コロナウィルスの感染拡大状況によって延期になった。2020年度にも引き続いて海外渡航ができない環境にあったため、再度の延期とせざるを得ななかった。よって、調査計画は遂行しえないままである。 他方、2000年度夏は、長江洪水にともなう三峡ダム決壊リスクの議論が起こったことが特筆される。この動向について、建設に至る経緯のなかにもダム懐疑論が多岐にわたって展開されていたことを確認しつつ、今回の決壊リスク論議の背景には幾つかのバイアスが絡み合っていることについて短い論稿にまとめた。ここではさらに、ダム建設へのまなざし変化が日本でも起きていることを指摘した。また、韓国および中国の研究者らとダム映像・報道について共同研究の機会に恵まれ、このの一部では、三峡ダムのドキュメンタリーや実況中継のメディア分析について触れることができた。これらの成果は2021年度に書籍刊行される計画となっている。 これらは必ずしも住民移転問題に直接かかわるものばかりではないが、三峡ダムは公共事業の巨大な複合体であり、多面的な理解が必要になることから、継続的に動向をフォローしているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの状況により渡中できないため、現地調査を実施する見込みが立っていないことによる。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの動向次第であるが、場合によっては、2020年度と同様に資料の検討や既存のデータ分析で一段落させることも視野に入れたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査の実施を延期したため。次年度もまずは現地調査の実施を検討する。
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