研究課題/領域番号 |
17K04142
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
浦野 茂 三重県立看護大学, 看護学部, 教授 (80347830)
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研究分担者 |
船越 明子 兵庫県立大学, 看護学部, 准教授 (20516041)
土田 幸子 鈴鹿医療科学大学, 看護学部, 准教授 (90362342)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 精神障害 / ピアサポート / 当事者研究 / 支援実践 / エスノメソドロジー |
研究実績の概要 |
現在の日本の精神医療は、地域生活支援への重心の移動や、当事者とその家族によるピア・サポートの広がり、さらには当事者研究の進展などに見られるように、大きな変化を経験しつつある。本研究の目的は、この精神障害をめぐる社会関係の大きな変化とそれに伴う問題を、各種の支援実践(医療的ケア、ピア・サポート、当事者研究)場面の収録データの分析を通じ、実践の組織レベルにおいて解明することである。解明の焦点となるのは、精神障害とその治療、回復をめぐって存在する複数の理解の仕方が織りなす、対立と葛藤を含む相互関係である。したがって本研究の具体的課題は、実際の支援実践のなかにおいてこの相互関係がどう出現し、どう対処されていくのかを分析的に解明し、これを踏まえた支援技法のための提言を作成することとなる。 以上の研究目的にもとづき、平成29年度には次の3点を実施した。 (1)各種支援実践の見学と関係者へのインフォーマルな聞き取りを実施し、調査対象を確定するとともに倫理的配慮方法について検討を行った。 (2)見学と聞き取りにもとづき既存のデータを再分析することにより、ピア・サポートや当事者研究にしばしば見られる相互行為の形式(困難経験そのものでなく、その意味を主題にする相互行為の形式)を明らかにした。 (3)精神障害の当事者が構築してきた社会的ネットワークと知識が、精神医療保健福祉の専門的な支援実践に対してもつ含意について検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種の支援実践の見学と関係者へのインフォーマルな聞き取りを行うことができ、また関係者から調査協力への内諾を得ることができた。これに加え、この調査分析にとって背景となる論点を、歴史的資料および相互行為データの分析を通じて明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
調査対象となった支援実践(医療的ケアとピア・サポート、当事者研究)について収録を行い、収録データをもとに支援実践における相互行為の構造について分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
フィールドワークと収録の件数が当初の予定よりも少なかったために、次年度使用額が生じた。次年度使用額については、平成30年度におけるフィールドワークと収録およびデータ分析の作業に充てる。
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