研究課題/領域番号 |
17K04144
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 京都大学 (2020-2022) 広島市立大学 (2017-2019) |
研究代表者 |
直野 章子 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (10404013)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 集合的記憶 / トラウマ / 歴史と記憶 / 精神分析学 / 生存者 |
研究成果の概要 |
本研究は、社会学と歴史学および精神分析学における記憶研究の認識論、理論・方法論的な課題を精査しながら、集合的記憶論と精神分析学的なトラウマ記憶論の有機的接合の可能性を探ることを目的とし、1990年代から2010年代までの間に刊行された集合的記憶とトラウマ記憶に関わる主要な理論と経験的研究を検討した。トラウマ的な過去の実在性を確保するうえで精神分析学の洞察と社会学や歴史学の経験的研究を接合することは難しいが、トラウマ記憶であっても集合的記憶に影響を受けながら形成されていることを示し、精神分析学的なトラウマ記憶論と社会学的な集合的記憶論の接合可能性を見いだすことができた。
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自由記述の分野 |
社会学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
記憶研究が歴史学や社会学の経験的研究と精神分析学研究とに分岐している現状において、集合的記憶論と精神分析学的なトラウマ記憶論の有機的接合可能性を示すことで、記憶研究の新たな展開の可能性を示唆することができた。また、トラウマの生存者が自己を再構築するうえで、過去に意味を与えることの重要性を指摘する精神分析学や心理学の知見を集合的記憶論と接合した結果、集合的記憶の在り方によって、傷を負った主体が自己を再構築するのを助けたり、困難にしたりすることを明らかにし、当事者以外の社会の構成員が果たしうる役割を示唆することができた。
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