研究課題/領域番号 |
17K04145
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
中村 文哉 山口県立大学, 社会福祉学部, 教授 (90305798)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ハンセン病 / 癩豫防に関する法律 / 癩豫防法 / 伝染病予防法 / 結核 / マラリヤ / 沖縄 |
研究成果の概要 |
ハンセン病(HD)隔離政策の元凶とされてきた戦前の「癩豫防」関連法規は、隔離規定なき救恤法であり、療養所なき時代のHD患者の生存を可能にした。HD・結核(T)・マラリア(M)各疾病比較史について。米占領の「恩恵」を被り、復帰後に消長した共通点がある。HDとTは私宅療養が可能だが、近隣関係で離家が生じるHDのスティグマは高い。産業人口減の社会‐経済リスクをもつT・Mは、大規模な患者数故に放置されたT、強制医療を実現させたM、患者数・社会リスクの少さ故に療養所構築が先行したHD病等、病による利害状況は異にした。本研究の作業仮説「国-地方-患者」連関は近代公衆衛生の軌跡に沿う点を確認した。
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自由記述の分野 |
社会学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
従来のハンセン病研究は、ハンセン病のみを分析対象にしてきたが、ハンセン病と沖縄社会との関連を捉える際、同病のみで沖縄社会を照射することは危険である。なぜなら、医療・公衆衛生面が脆弱であった当時の沖縄人たちは、ハンセン病だけでなく、多くの病へのリスクがあったからである。本研究は、ハンセン病問題を軸としつつも、当時の沖縄社会に潜在していた生活リスクの重層的局面を動態的に捉える新たなハンセン病問題研究の視座(問題系)を開くべく、それに迫るための解釈図式を構築し、病いの研究を社会の研究へと架橋する方法論の構築をめざした。本研究の社会的意義は、従来のハンセン病研究のこの様な更新を指向する点にある。
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