国内外の健康科学分野では「健康の社会的決定要因」の議論の高まりとともに,地域環境が高齢者のウェルビーイング(幸福感)に及ぼす影響の研究が蓄積されつつある。しかし国内での都市社会学/老年社会学的な分析は数少ない。本研究は、都市部における高齢者の居住満足度に関連する地域環境要因をマルチレベル分析によって明らかにしたという学術的意義をもつ。 本分析の結果は、集合的効力感とよばれる近隣への信頼と期待、そして治安の良さが高齢になっても住み続けやすい都市生活において重要であることを示していた。これらの知見は、高齢になっても住み続けやすい都市づくりを推進していく上で、一定の社会的意義をもつと考える。
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