研究課題/領域番号 |
17K04155
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
嶋根 克己 専修大学, 人間科学部, 教授 (20235633)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 死の社会学 / 葬儀 / 脱共同体化 / 国際比較 / ベトナム |
研究実績の概要 |
日本の葬儀の近代化は、葬儀からの地域共同体の撤退、職場共同体・親族の撤退という段階を経て、家族の撤退という段階へと進行しつつある。葬儀の脱共同体化現象を、日本を含むいくつかの社会における質的・量的な調査によって明らかにしていく。 今年度、特に注力したのはInternational Consortium for SWB Studiesが実施したアジア7カ国におけるアンケート調査と実施者が行った調査研究を組み合わせた研究成果についての国際的な情報発信である。具体的には2017年5月にベトナム社会科学院(以下VASS)哲学研究所が開催したMarx 200; Karl Marx's though on distributive justice and its current relevanceにおいて“The rights to be cared in the end-of-life and after-life; Transformation of aging and dying in Japan”を、10月にはVASS社会学研究所の主催する国際会議において“Ancestor Worship and Subjective Well-being: Cross-national Comparison between East and Southeast Asian Countries”を、2018年3月にはインドネシアにおいて“Transformation of the Family and Funeral System during Modernization”を報告した。 また質的研究では日本とベトナム社会の葬送の現状調査に力を入れた。5月には香川県立瀬戸内海歴史民俗資料館を訪問し。特別展示「昭和のお葬式とお墓」を観覧した。また同資料館館長から香川の葬送儀礼についての聞き取り調査を行った。7月にはベトナム農村の葬送慣習に詳しいVASS社会学研究所のDang Thi Viet Phuong氏を招聘し、同社会の葬儀の変化について聞き取り調査を行った。10月には同氏の案内でベトナム北部山岳民族の居住地域を訪問し、少数民族の葬儀の特徴について調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前述の通り、2017年度は3つの国際会議において英語で研究報告を行った。さらに今年度3本の国際学会での報告することが予定されている。また現在査読付きの英文雑誌に1本、査読付きの英文出版物に共著で1本が査読中である。本報告書執筆時点でベトナム語の翻訳論文が1本、中国語の雑誌論文が1本、すでに出版されている。したがって、過年度は出版物の研究成果は多くなかったものの、今年度以降論文講評は順調に進むと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度は国内研究員として研究に専念することができたが、今年度以降は日常業務に加えて学内の役職も果たさねばならないので、海外での調査の機会が限られてくる可能性がある。その場合、当該知識をもった海外の研究者を招いて研究会を行うことによって、その溝を埋めることにする。 すでに本報告書執筆時点で科研費セミナーとして〝Japanese Consumption Culture and Outsourcing of Life Caring:Comparison with Vietnam”を4月に開催した。6月にはソウル大学で国際学会、7月にはISA World Congress of Sociology にて研究報告が採択されている、また10月には APSA conference 2018 で研究報告を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定したヨーロッパでの調査ならびに研究報告が実施できなかったことによる。今年度はカナダで開催される国際学会での研究報告が予定されており、そのギャップを埋めることにしたい。
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