研究課題/領域番号 |
17K04161
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
上林 千恵子 法政大学, 社会学部, 教授 (30255202)
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研究分担者 |
田嶋 淳子 法政大学, 社会学部, 教授 (20255152)
長谷部 弘道 杏林大学, 総合政策学部, 講師 (40781282)
山口 塁 法政大学, 通信教育部, 講師 (70769083)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高度外国人材 / 技能実習生 / ベトナム |
研究実績の概要 |
日本企業の高度外国人材受け入れが当初のテーマであったが、そのテーマが実態と異なってきていることが平成29年度の発見であった。すなわち、日本の外国人受け入れは、単純労働者である技能実習生と、高学歴の高度人材とに2分割されている、という点がこれまでの研究者の前提であった。 ところが、ベトナムの大手派遣企業のヒアリング結果では、日本企業でも大企業では従来の技能実習生に代わって、高度人材を受け入れる方向にシフトしているという。来日後の職種は、技能実習生の職種と変わりがないが、入管の審査は高度外国人材の場合には、ほとんど厳しい審査が行われず、結果として採用から入国までの期間を短縮できる。また技能実習生と比較して配置可能な職種範囲が広く、採用後に送り出し団体に管理費も不要である。また寮費などの負担もなく、ベトナム政府からの縛りがない。その結果、実習生よりも高い18-20万円の賃金を支払っても、受け入れ費用をトータルで見れば安価な労働力となると判断されている。 従来までの日本の外国人労働者に対する政策は、彼らが社会的弱者であるために、多くの保護措置を設けてきたが、高度外国人材の場合は保護措置がないために、雇用する企業にとってはその能力以上に技能実習生の雇用に課せられた制度的縛りの欠如が雇用上のメリットとなっている。 また日本では、学歴間の賃金格差が小さい、言い換えれば学卒者の賃金が世界的に見て相対的に割安であるために、本来ならば未熟練労働者向けの低熟練労働に高度外国人材を充当してもコストに見合うという、他の先進国では見られない特徴が発見された。高度外国人材の日本における定義そのものが、再度、考察されねばならないことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は、ベトナムと中国の日本への技術者派遣を調査する予定であったが、諸般の事情によりベトナムだけとなった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、日本と同じく急速に高度外国人材受け入れ国へと変貌した韓国の技術者受け入れと、現在でも同国は日本に高度外国人材として技術者を派遣しているので、韓国の高度外国人材受け入れ政策とその訓練実態について研究する予定である。その上で、日本の受け入れ政策と比較を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
中国調査の旅費が使用できなかった。中国側の研究協力者が見つからなかったためである。本年度は、韓国の高度外国人材受け入れ政策を調査予定にしており、旅費として使用する計画である。
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