研究課題/領域番号 |
17K04161
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
上林 千恵子 法政大学, 社会学部, 教授 (30255202)
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研究分担者 |
田嶋 淳子 法政大学, 社会学部, 教授 (20255152)
長谷部 弘道 杏林大学, 総合政策学部, 講師 (40781282)
山口 塁 法政大学, その他部局等, 講師 (70769083)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 外国人労働者 / 地方自治体 / 韓国移民政策 / 技能実習生 |
研究実績の概要 |
2018年度は、日本の外国人労働者政策が大きな転換点を迎えていることを念頭に置き、国内調査と国外調査を実施した。 国内調査では、地方圏における外国人労働者の受け入れ・活用実態について、2地域を選択してヒアリング調査をおこなった。ひとつは、技能実習生の受け入れに対して自治体が積極的な姿勢をとる中山間地域でのヒアリング調査である。もうひとつは、人口減少に直面し、自治体を中心に多様な取り組みを展開するなかで、外国人住民が顕著に増加している地域でのヒアリング調査である。ヒアリング調査は、自治体や関連機関、外国人労働者を活用する企業に対して実施した。その結果、地域における外国人(労働者)の受け入れにあたっての自治体等の関連機関の役割をめぐる現状、必要性と課題にかんする知見を得ることができた。また受け入れ企業に対するヒアリング調査から、外国人労働者の職場での地位上昇にかんする知見も得ることができた。 国外調査は、韓国を対象としてヒアリング調査を実施した。ヒアリング調査は、現在韓国が採用する外国人労働者の受け入れ政策(雇用許可制度)の現状と効果を明らかにすることを目的として、ベトナム人労働者支援NPO, 中小企業中央会、国家プリ産業振興センター(鋳鍛造、金型産業)や韓国で就労するベトナム人外国人労働者、ミャンマー人の元留学生を対象として実施した。その結果、韓国での外国人労働者受け入れ政策にみられる有効性・先進性、そして隘路にかんする知見を得ることができた。要するに、10年間の就労経験のある外国人労働者に対して永住権を付与することを実質的に拒否した結果、今後も大量の不法就労者が出現し続ける、という明らかな事実である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
日本の外国人受け入れ制度について、2018年2月頃より、新しい在留資格「特定技能」が提案され、この制度は2018年12月に成立、2019年4月より実施された。本研究課題の想定時には、このような単純労働者受け入れ制度はなかったため、急遽、この制度についての内容とその影響に注力をせざるをえなくなった。 技能レベルで見ると、従来の高度人材ではなく、専門技術分野の下層に位置づけられる中間技能レベルの人材受け入れであり、こうした単純労働者と専門技術分野の中間に位置づけられる外国人労働者も、新しく研究対象とすることに決定した。
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今後の研究の推進方策 |
ベトナム及び韓国へのヒアリングを継続して、外国人労働者受け入れ国としての韓国、労働者を韓国、日本に送り出すベトナム、という観点から最終年度の報告書執筆を考えたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度の調査対象地のうち、ベトナム調査が遅れて、1回しか実施できなかった。今年度は海外調査を実施予定なので、遅れを取り戻す。また昨年度から島根県出雲市を新たな調査対象地として加えたため、そこでのヒアリング調査を実施予定である。
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