研究実績の概要 |
本研究では、三重県老人クラブ連合会に加盟している1,675単位老人クラブの代表者を対象に実施した量的調査結果を分析対象とし以下の4点について明らかにした。(1)老人クラブによる「支え合い活動」の実施状況ならびに新地域支援事業への参画状況と課題の析出:「支え合い活動」の実施状況を明らかにし、今後新地域支援事業へ参画していく上での課題として、新規会員の確保等人員増強、ならびに行政・社協・市町老人クラブ連合会等外部機関からの働きかけの有効性について明らかにした。(2)老人クラブにおけるソーシャル・キャピタルの特徴とその規定要因:獲得率が高かった項目の上位に「安心・安全」分野のリソースが多く含まれ、「都市部」よりも「非都市部」の獲得率の方が高い点、また各分野のリソース獲得数と有意な相関関係にある市町統計指標ならびに老人クラブ内指標を明らかにした。(3)新地域支援事業において老人クラブが担いうる役割と課題:現在老人クラブが実施している「支え合い活動」と、厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン」で示された事業を比較検討し、今後、新地域支援事業として老人クラブが広く担いうる活動を明らかにした。(4)老人クラブ活動の地域連携の特徴ならびに地域類型別連携モデルの提示:「都市部」の老人クラブの方が幅広く地域の機関・団体と連携し活動を実施している点、他方「非都市部」では「社協」を中心とした特定の機関・団体と緊密に連携している点等を明らかにし、これらの特徴を踏まえながら5つの活動について地域類型別に地域連携モデルを提示した。以上の研究成果は、新地域支援事業の実施ならびに地域包括ケアシステムの構築において要請されている、地域の人的・物的資源を活用した「高齢者が高齢者を支える」体制づくりに貢献しうることから社会的意義を有していると考える。
|