研究課題/領域番号 |
17K04179
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
小笠原 盛浩 関西大学, 社会学部, 准教授 (00511958)
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研究分担者 |
藤代 裕之 法政大学, 社会学部, 准教授 (30403687)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | フィルターバブル / ソーシャルメディア / フェイクニュース / 流言 |
研究実績の概要 |
2016年米国大統領選挙においてフェイクニュース(事実ではないニュース)やTwitterを巧みに利用したトランプ候補が勝利したことで、「フェイクニュース」は一躍、世界的に最も注目度が高い研究テーマとなった。本研究のテーマ(ソーシャルメディア上のコミュニケーションによるフィルターバブルを生むメカニズム)は、フェイクニュースの生成・拡散およびその効果と密接に関連している。 こうした急激な研究動向の変化に対応して、2017年度の当初計画を見直し、海外の最新のフェイクニュース研究の知見を取り入れるとともに、日本におけるフェイクニュース事例を国内外で発表して認知度を高めることとした。 具体的には、国際学会等に参加してフェイクニュース研究動向を把握するとともに、日本でフェイクニュースが流通した事例について調査・分析を行った。日本のフェイクニュース事例として取り上げたのは、(1)2011年東日本大震災直後にTwitter上で拡散した「コスモ石油流言」、(2)2017年10月の衆議院議員選挙期間中に流通した政党・候補者に関するフェイクニュース、の2種類である。(1)は The 2nd. International Workshop on Language Sense on Computer(IJCAI-2017 Melbourne)、(2)は International Symposium on Internet Election Campaignsで分析結果を発表し、貴重なフィードバックを得ることができた。(2)では、研究代表者による、インターネット選挙運動を取り巻く日米韓台4カ国のメディア環境比較分析の知見が有用であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前述のとおり、本研究と密接に関連するフェイクニュース研究の世界的な高まり、ならびに2017年9月に衆議院が解散され総選挙が実施されたことが遅れの主な理由である。 これらの要因はいずれも予期困難であり、特に後者は、本研究の調査とは別に選挙用調査を急遽設計・実施したことでリソースを割かれた。 しかしこれらの要因に対応できるように本研究の位置づけを見直したことで、より有効に研究成果を内外に発表することが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
2018年夏頃にオンラインパネル調査の第1波調査、2019年夏頃に第2波調査を実施予定である。フェイクニュース研究の知見を取り入れて調査票を見直し、ソーシャルメディア上で調査対象者が接触したり話題にしたニュースについて、コミュニケーションが行われた集団の特性を把握することとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定にはなかった、国際学会におけるフェイクニュース研究動向の調査、ならびに日本のフェイクニュース事例の分析・発表を研究に組み込むことを優先したため。 特に、2017年9月の衆議院解散・10月総選挙において、フェイクニュース接触の実態を把握するため、急遽調査を企画・実施・分析することとし、エフォートを集中的に投入した。 次年度には、上記のネットニュース環境の変化を踏まえてデータ収集方法を見直した上で、インターネットニュースおよびソーシャルメディアの利用状況と効果について、大学生を中心とした定性的データ、第1波のパネル調査による定量的データの収集を行う。
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