今年度は、大別して4つのことを行った。1つ目は、国際学会での報告である。親族・家族・友人等との交流人数と夫婦の家事分担の関連について多変量解析による分析を行ったところ、親族との交流人数が多いほど、夫の家事分担割合が増加するとの結果を得た。親族との交流が、伝統的な家事分担へと結びつくと予想していたが、予想に反する結果となった。 2つ目は、2018年1月~2月に収集した新聞のお悔やみデータの分析である。京都新聞滋賀版と奈良新聞の電子版のお悔やみデータをもとに、喪主の割合について分析したところ、京都新聞において、60歳以上の方に限定すると、掲載されていたのは517件、そのうち男性では、長男喪主が68.9%、女性では62.5%であった。奈良新聞では、29件が掲載されており、そのうち長男喪主が55.2%であった。京都新聞は一般の方、奈良新聞は著名人のお悔やみの掲載が多いという違いがあり、掲載数も大きく異なるが、滋賀において、長男喪主の割合が高かった。 3つ目は、研究会での報告である。2018年度に実施された全国家族調査(NFRJ18)データを用いて、母・義母を介護するのは誰と思うかという意識についての分析を行った。「施設等にまかせると思う」という家族以外の選択肢を1とするダミー変数を従属変数とする分析では、「親が寝たきりなどになった時、子どもが介護するのは当たり前のことだ」を肯定するほど、施設介護等を否定していることが明らかとなった。また女性回答では、義母の施設介護については、夫の姉妹の有無が影響しており、夫の姉妹の存在は義母の施設介護に対して負の効果をもっていた。 4つ目は、論文の執筆である。これまでの研究成果をまとめた、主観的家族認知と家族意識に関する論文を紀要に掲載した。
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