本研究は、実親と義親の家族認知によって、家族制を類型化し、老親同居・扶養・介護の意識との関連を明らかにすることによって、意識上の家族変動の一端を明らかにした。双系的な家族認知が子どもの老親へ責任の肯定と関連していること、親族との交流人数が多いほど平等な夫婦の家事分担につながるという予想外の結果が得られたことは、家族社会学分野における新たな知見である。また、一方で祭祀の継承の表出としての喪主が、現在の関西圏においても長男の割合が高いという知見により、伝統的な家族認知が継続しているということを示したことも家族変動研究における学術的意義がある。
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