研究課題/領域番号 |
17K04185
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研究機関 | 九州国際大学 |
研究代表者 |
入江 恵子 九州国際大学, 法学部, 准教授 (10636690)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 医療社会学 / ジェンダー研究 / 逸脱研究 / インターセックス / 性分化疾患 |
研究実績の概要 |
初年度である平成29年度は理論枠組みの検討と、インタヴュー調査のための新たなネットワーク構築、そしてこれまでの成果の研究発表を行った。 理論枠組みの検討として、まず性分化疾患当事者のライフコースを捉えるための逸脱増幅についての理論的構築を行った。当事者の身体の綜合作用の概念図をさらに理論的に位置付け、意義の明確化を行った。特に、逸脱論と近接する理論からこの概念図の特質・意義を再考し、概念の精緻化をはかった。具体的には、シンボリック相互作用論における議論、構築主義的アプローチ、身体論との比較を行った。 8月にはオーストリアで現地調査と聞き取り、その翌月9月にイスラエルで行われたインターセックスをテーマにした学会に参加することにより、新たな当事者団体の代表含め、調査に協力いただける当事者とのネットワークを構築することができた。具体的には、ウィーンを中心とするオーストリア在住の当事者運動に参加する方々と、イスラエルにおけるインターセックス運動を研究している研究者らと今後の共同研究について計画を立てているところである。 成果発表としては、4月にアメリカPSA学会(パシフィック社会学会)において、また、先述した9月のEuroPSI学会にてこれまで得られた研究成果について単独発表を行った。11月に参加・単独発表予定であったアメリカのNWSA(全国女性学会)には、テーマが採択されていたにもかかわらず体調不良のため出席することが叶わなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究成果発表(4月、9月)、8月の現地調査については、これまでに計画していた通り進めることができた。しかし、11月に参加・単独発表予定であったアメリカにおける学会については、体調不良により参加することができなかった。そのため、当初の計画通りとは言えないが、おおむね計画書通りに進んでいる状況である。
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今後の研究の推進方策 |
学会参加は研究者、また参加している当事者の方々とネットワークを構築し、情報収集を行う貴重な、研究を推進するにあたって重要な場である。初年度は、体調不良により11月に参加予定であったアメリカにおける最大規模の女性学会(NWSA大会)に参加することができなかった。今回はテーマも採択されていたため、参加できなかったことは大変残念であるが、次の機会にまた採択されるよう、精いっぱい取り組みたい。 学会に参加できなかったことで機会を逸した当事者、研究者らとの打ち合わせは、都度メールを通じて行っている。新たなネットワーク構築は、実際にお会いしないと難しいが、現在できる範囲で今後の共同研究計画の推進と、研究のための情報交換を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
体調不良により、11月に予定していた学会参加と現地調査を遂行することができなくなったため。次年度以降に計画を立て直し、成果発表と調査を遂行するために使用する。
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